【8/21】文部科学省「宇宙航空人材育成プログラム」に再度採択されました。

 文部科学省が公募した「令和5年度宇宙航空科学技術推進委託費・宇宙人材育成プログラム【専門人材育成】」に本校が研究代表機関として5高専(新居浜高専、高知高専、米子高専、香川高専(高松)、群馬高専)が共同提案した課題が採択されました。採択課題は「全国高専宇宙工学コース設立による実践的宇宙人材育成の展開」(研究代表者:電気情報工学科 若林 誠 准教授)で、本校を含む5高専が連携して、超小型人工衛星(CubeSat)の開発と運用を題材とした国立高専初の「宇宙工学コース」科目設立をもとにした次世代の高専型宇宙人材育成を実施します。実施予定期間は令和5年10月から令和8年3月までであり、実施予定総額は3900万円です。

 

 本課題採択の背景には、全国高専の宇宙理工学関係の教員グループ「高専スペース連携」の継続的な活動があり、それを基にした「宇宙航空人材育成プログラム」への過去3回にわたる採択、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する「革新的衛星技術実証プログラム」の3度の実証テーマ選定といった実績があります。また、これらの取り組みの中で、以下のような教育コンテンツを確立してきました。同プログラムへの採択は、令和2年度から4年度にわたる前回に続いて2回目となり、これまでの取り組みが一層評価され、今後に期待されていることを示しています。

  • 高専スペースキャンプ:新居浜市内で合宿形式(2~3泊)のグループワークを行い、衛星モデルの製作や衛星通信について学びます(平成27年から本校を開催校として実施)」。
  • 高専スペースアカデミア:オンラインで全国の高専に宇宙理工学の学習コンテンツを半年から通年にわたり提供します(平成30年から実施。令和3年度からは本校を拠点に全国に配信)。
  • 全国高専宇宙コンテスト:CubeSatが軌道上で行うミッションの企画力をオンライン発表で競います(本校を拠点とし、令和3年度から開催)。

 

 本提案課題では、上記のような実績あるコンテンツをもとに全国の国立高専で履修可能な「宇宙工学コース」としての科目を設立し、全国の高専生がCubeSat開発の基礎を学習して単位を取得できる体制を整備します。また、衛星開発の最前線に立つベンチャー企業や大学教員の講義・演習を通じて、現代の衛星開発で主流となっている「マーケット・イン」の発想を学び、CubeSatの社会実装について実践的な学習を行います。更に新居浜高専に設置された2.4mパラボラアンテナを用いた衛星通信の実習を行う他、タイ高専等との連携のもとでCubeSat開発を題材とした国際交流を行い、衛星開発と運用の実践力に加えて国際的な視点やコミュニケーション能力も養います。本事業ではこれらの取り組みを通じて、衛星開発の基礎的な知識・技術をベースとし、社会的ニーズに対応してCubeSatを幅広く活用できる発想力を備え、また言語の壁を越えてコミュニケーション能力を発揮する、現代の衛星開発におけるさまざまな場面で活躍できる宇宙人材の育成を目指します。本校からは電気情報工学科 若林 誠 准教授が研究代表者(全体の統括)として、同 今井 雅文 講師が共同参画者として参加します。

 

【関連するこれまでの取り組み】

(1)高知高専・徳山高専を中心とした8高専による文部科学省・平成26年度

実践的若手宇宙人材育成プログラム

「国立高専超小型衛星実現に向けての全国高専連携宇宙人材育成事業」

(代表者:高知工業高等専門学校 今井 一雅 客員教授)

 

(2)徳山高専・高知高専を中心とした10高専による文部科学省・平成29年度

宇宙航空人材育成プログラム

「超小型衛星開発を通した高専ネットワーク型宇宙人材育成」

(代表者:徳山工業高等専門学校 北村 健太郎 教授 

:現・九州工業大学 教授)

 

(3)革新的衛星技術実証2号機 

テーマ名「2Uキューブサットによる超高精度姿勢制御・超小型LinuxマイコンボードによるOBC・木星電波アンテナ展開技術の実証」

(代表者:高知工業高等専門学校 今井 一雅 客員教授)

 

(4)革新的衛星技術実証3号機 

テーマ名「超高精度姿勢制御による指向性アンテナを搭載した海洋観測データ収集衛星の技術実証・持続可能な宇宙工学技術者育成とネットワーク型衛星開発スキームの実証」

(代表者:米子工業高等専門学校 徳光 政弘 准教授)

 

(5)新居浜高専を中心とした6高専による文部科学省・令和2年度

宇宙航空人材育成プログラム

「継続的な超小型衛星開発・運用を通した次世代の高専型宇宙人材育成」

(代表者:新居浜工業高等専門学校 若林 誠 准教授)

 

(6)革新的衛星技術実証4号機

テーマ名「軌道維持用推進システムを搭載した次世代CubeSatの技術実証」

(代表者:香川高等専門学校 高松キャンパス 村上 幸一 准教授)

 

 

第1回全国高専宇宙コンテスト(令和3年度)での発表の様子