【4/3】『高校化学実験で糖詳細構造分析 卓上型NMR活用』兵庫教育大と本校教員との研究成果が日刊工業新聞に掲載されました。

兵庫教育大学 山口 忠承 教授と本校環境材料工学科 高見 静香 教授の研究成果が、日刊工業新聞(令和5年4月3日(月)21面の「科学技術・大学」欄)に『高校化学実験で糖詳細構造分析-核磁気共鳴装置(NMR)卓上型、短時間-兵庫教育大学などが考案』の見出しで掲載されました。

 

この研究は、実験机に置けて簡単に使える卓上型NMRを活用し、サトウキビから糖を抽出・分析し、糖の構造を決定する内容を、高校の化学実験の90分授業4回で完結できるように考案したものです。

 

NMRを用いた構造の解析は高校「化学」教科書において発展事項として記載されています。大学の研究室では、大型のNMRを用いて構造の解析を行っていますが、この大型NMRは価格が数億円、維持費も年間100万円以上掛かるため、高校では設置は難しいのが現状です。そこで、低価格の簡単に使用できる卓上型NMRの活用を考えて検討したところ、大型NMRに比べて感度は低いですが、糖の構造なら分析が可能だと分かりました。そして、サトウキビから黒砂糖を抽出し、卓上型NMRで分析すると、6種類(単糖類3種類と二糖類3種類)の糖に含まれる官能基などのデータから構造を導くことができました。高校化学実験で使われている2つの手法、①糖が存在すると色が変わる「ベネディクト法」と②糖の種類を分ける「薄層クロマトグラフィー法」だけでは糖の構造を導くことはできず、今回の研究成果によって実験で糖の詳細な構造の理解を深めることができるようになりました。

 

本研究成果は、令和5年3月24日に日本化学会『春季年会 2023』で発表したものです。