【8/18】高専衛星KOSEN-1で世界初の姿勢制御実験に成功しました。

新居浜高専を含む10高専(高知高専、群馬高専、徳山高専、岐阜高専、香川高専、米子高専、新居浜高専、明石高専、鹿児島高専、苫小牧高専)が開発したKOSEN-1衛星により、新しい衛星用姿勢制御装置「デュアル・リアクションホイール」を使った、宇宙での高速かつ高精度な姿勢制御の実証実験が成功しました。この新しい方式のデュアル・リアクションホイールが衛星に搭載されるのは世界初の試みです。

 

超小型衛星KOSEN-1は、JAXAのイプシロンロケット5号機により、JAXA内之浦宇宙空間観測所から2021年11月9日に打ち上げられました。このKOSEN-1衛星は、2018年12月にJAXAの革新的衛星技術実証2号機の実証テーマに選定され、50名を超える高専生を中心に2年半かけて開発されたもので、三つの新しい宇宙技術実証が予定されています。従来の衛星姿勢制御用リアクションホイールは、姿勢制御する軸に対して一つのホイール(円盤)が実装されていますが、今回、群馬高専で考案、開発された革新的な姿勢制御装置「デュアルリアクション・ホイール」は、薄型化された二つのリアクションホイールから構成されます。それぞれのリアクションホイールを反対方向に時間差を付けて回転させることで、衛星本体の向きを高速かつ高精度に変えることができます。(公開特許 モーター  特許第5649203号 PCT JP2015/055319 米国特許 US9722477b2)

 

今回の宇宙実証に成功した姿勢制御装置「デュアル・リアクションホイール」は1軸ですが、2軸とすることで、3次元的な姿勢制御を行うことも可能となります。「デュアル・リアクションホイール」は、原理的に姿勢制御する時だけの電力消費となりますので、今後、小型・省電力姿勢制御システムとして宇宙での利用が期待されます。なお、この「デュアル・リアクションホイール」は、2022年度打ち上げ予定の、JAXAの革新的衛星技術実証3号機のKOSEN-2衛星にも搭載されることになっています。

 

KOSEN-1衛星プロジェクトは、文部科学省の宇宙航空人材育成プログラム「継続的な超小型衛星開発・運用を通した次世代の高専型宇宙人材育成」(新居浜高専 電気情報工学科 若林 誠 准教授が研究代表者を務める6高専の共同事業)により支援を受けております。