【3/25】KOSEN-1衛星が新しいOBC宇宙技術実証に成功しました。

新居浜高専を含む10高専(高知高専、群馬高専、徳山高専、岐阜高専、香川高専、米子高専、新居浜高専、明石高専、鹿児島高専、苫小牧高専)が共同開発した超小型人工衛星「KOSEN-1」は、2021年11月9日に打ち上げられた後、地球周回軌道上にて3つの新しい宇宙技術実証を行うよう準備を進めてきました。今回、最初の技術実証となる「衛星の心臓部に市販のLinuxマイコンボードを用いて運用する」という先進的な宇宙技術実証に成功しました。この技術実証は、超小型で低消費電力となる市販のLinuxマイコンボードを、衛星の心臓部となるOBC(Onboard Computer)に使用し、衛星で常時運用するという先進的な内容であり、OBCと連動した搭載カメラによる地球の写真撮影にも成功しました。

 

KOSEN-1衛星は、JAXAイプシロンロケット5号機によって打ち上げられた、国立高専で初めて開発された人工衛星です。正式には「木星電波観測技術実証衛星」という名称で、2018年12月にJAXA革新的衛星技術実証2号機に搭載される実証テーマに選定されて以来、50名以上の高専生が参加し、2年半かけて開発されました。衛星の心臓部であるOBCは市販のLinuxマイコンボードを使用しており、衛星用ソフトのプログラムを多くの高専生が共同開発しました。本校では、電気情報工学科 今井雅文 助教と同学科の学生が協力して、KOSEN-1衛星が木星電波観測を行うための40ほどのプログラムを作成し、衛星に搭載しています。また、KOSEN-1衛星の地上局は全国に7局ありますが、そのうちの1局となる本校屋上に設置されたアンテナで定常的に衛星からのデータ受信等の運用を行っています。今回の地球の写真は、本校の地上局で受信したデータを主に使用して得られたものです。KOSEN-1衛星は、引き続きOBCの宇宙技術実証を続けるとともに、残りの2つの宇宙技術実証にも挑戦します。

 

KOSEN-1衛星プロジェクトは、文部科学省の宇宙航空人材育成プログラム「継続的な超小型衛星開発・運用を通した次世代の高専型宇宙人材育成」(新居浜高専 電気情報工学科 若林 誠 准教授が研究代表者を務める6高専の共同事業)により支援を受けております。

 

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2022年3月16日に取得されたKOSEN-1衛星が撮影した日本上空の画像データ
(搭載した広角カメラによるもので、右下斜め方向に九州、四国、紀伊半島が見られる)

 

(参考)【高知高専】高専衛星KOSEN-1宇宙技術実証に成功!

http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000075419.html