令和7年度 第60回卒業式・第33回専攻科修了式校長式辞

 本科を卒業される皆さん、専攻科を修了される皆さん、新居浜高専での学業を終えられ、次のステージに進まれる節目に到達されたことをお祝いしたいと思います。これからの皆さんの時間は、新居浜高専で過ごされた時間よりもはるかに長いことから、先に生まれた者として、皆さんの心に届けたい3つの話をしたいと思います。

 一つ目は、新しいステージへの移行には、期待と不安が入り混じるのが自然であるということです。いっとき、期待どおり、期待以上、期待以下であったとしても、即断せずに、どこかでその落差を楽しむ心の余裕を持つことを意識してください。新居浜高専で培われた力は、卒業研究、特別研究を完遂させたことで得られたこと、自分の得意な科目のある単元の課題を成し遂げた瞬間の高揚感や、課外活動で力を合わせて目標に立ち向かったこと、自分の好きなことに没頭したこと、様々な活動を通じて得たものであったかと思います。当初は途方もなく高い壁と感じていたとしても、続けるうちに、手の届く範囲にあるものとして気づくことができるようになったかと思います。高い壁であったかどうかは、先に取り組んだ人や先輩の取り組みの結果があればこそ気づけたものであることから、これからも、どこかで、先人や先輩、そして周りから支えられていることを心のどこかに留めておいてほしいと思います。

 二つ目は、自分自身の成長の証について思いを寄せてほしい、ということです。それは、これまで当たり前のように与えられてきたことが、実はそうではないことに気づくことと連動しています。新居浜高専で皆さんが修了されたカリキュラムをこれからは、仕事に応じて自分で組み立てていくことが求められるのです。カリキュラムで構成された学びのプログラム、多くの人を納得させるために必要な知識やデータの組み立て方など、これからは、こういったことを自らそして仲間とともに学びの過程を構築していくことが求められます。加えて、皆さん方は、学生から社会人へ、あるいは引き続きより高度な挑戦を続ける学生へ、とステージが変化していきますが、この節目には、これまでとは違う新しい環境に身を置くということが伴います。新しい周りの人々とともに、新しい居住地で、新しい生活を営む過程で、成長の証を自分なりに確認していってほしいと思います。

 三つ目は、慎重さと大胆さを併せ持つ気持ちの余裕を持つことを心がけてほしいということです。皆さんの先輩方から、私のところに、頻繁に、卒業証明書や修了証明書、そして在学時の成績証明書を英文様式で作成したものの請求がきます。そのたびに私はサインをして返送しています。これは勤め先から外国へ仕事で派遣されて働く際に必要となるのです。早晩、皆さん方もこのような状況に近づいていくのではないかと思います。すなわち、皆さん方は、今、新居浜高専で学んだことを世界中で生かすことのできる、そのスタートラインに立っているのです。皆さん方の挑戦を見守らせて戴きたいと思います。

 「期待と不安」「成長の証」そして、「慎重さと大胆さ」、の3つのことを心に留め、新しい世界を楽しんでくれることを期待します。

 最後になりますが、ここで私から、もっとも強く皆さんに贈りたいことばを伝えます。それは、

「7割の力量で100%の仕事をし、そして残りの3割の力量で将来に備えよ」ということです。必ず少しだけ、余力を残しておき、将来に備える・対処できるような人生を歩んでくれることを望みます。この言葉を送る理由は、実は、私自身が、働き始めて以降ずっと大事にしてきたことばであるからなのです。

 保護者の皆さんの、卒業・修了される学生諸君へのこれまでのご支援に御礼申し上げるとともに、重ねて、卒業そして修了を祝福します。

 

令和8年3月18日

新居浜工業高等専門学校長

東海 明宏