令和6年度 第59回卒業式・第32回専攻科修了式校長式辞
今年度は秋になってもなかなか涼しくならず、温暖化の影響が少なからず出ているのかと感じました。その後何度かの寒気団に覆われた新居浜でしたが、本校の桜もつぼみを大きく膨らませて、確実に春が近づいたことが実感できるようになりました。
この暖かき良き日に、新居浜工業高等専門学校の卒業証書を授与された 本科185名の卒業生の皆さん、また修了証書を授与された 専攻科27名の修了生の皆さん、卒業・修了おめでとうございます。教職員を代表して 心からお慶び申し上げます。そして卒業生、修了生を今日まで支え、励ましてこられました保護者の皆様、ご家族の皆様にも心からお祝いを申し上げますと共に、本校に対してのこれまでのご支援、ご協力に対し深く感謝申し上げます。
また、古川新居浜市長をはじめご来賓の皆様には、お忙しい中、卒業式にご臨席賜り厚くお礼申し上げます。
さて本科卒業生の多くの皆さんが入学をした5年前はコロナウイルスの蔓延で入学式さえ実施できなかったほど混乱した状況でした。恐らく新居浜高専開校以来63年間の歴史の中でも最大の非常事態として扱われる出来事だと思われ、将来歴史の教科書にも21世紀の大事件として特筆されることでしょう。グローバル化が進んだ現在では、たった1日で地球の裏側までヒトは移動可能です。これはウイルスも同じ速さで移動、感染を蔓延させるということです。この世界的パンデミックを終息させたのは献身的医療従事者の皆さん、全く新しいワクチンを開発した研究者の皆さん、そして非常時でも規律を守り抜いた一般市民の皆さんのおかげでもありました。これには人類が発展させてきた科学技術の向上とそれを支えてきた教育の役割も大きかったと思っております。これから先、未知の危機が起こった時にまた高度な科学技術の活用が必要とされます。その開発を担う高度な知識、技術を習得された皆さん方にも大きな期待がかけられることでしょう。今後も更なる高みを目指して精進を重ねてください。
4月から就職、進学によって新居浜の地から巣立っていく方も多くいることでしょう。でも一番多感な時期を新居浜のこの高専で、そして東予、愛媛で過ごしたことに誇りをもって、次の人生の糧にしてもらいたいと願っております。
地元を誇れるということは、その良さを知っておく必要があります。他の地域で過ごしたことが無い方には、なかなか地元の良さが見えにくいものかもしれません。私は新居浜に来て3年ですが、本当に良いところです。気候は温暖、水はおいしい、魚もうまい、もちろん柑橘類はどれを取っても絶品ばかりです。これだけ自然に恵まれた地域は全国でもそう多くはないでしょう。他の地で新生活を始められる方がおられたら、私が今言ったことにいずれ納得頂けることだと思います。
次に、地元を誇れることとして東予地区は四国で最大の工業生産地域であるということです。この地域の産業発展のため、新居浜高専は最新の技術・情報をカリキュラムに導入し、多くの技術者、研究者を輩出させてきました。更に国立高専機構は次世代を担う未来技術人材育成事業をいくつか行なっており、蓄電池分野では全国の高専を牽引する役割を新居浜高専と石川高専に託して頂きました。近年はSDGs、グリーントランスフォーメーションに関わる環境に配慮して持続可能な取組が必須となり、そこでも活躍ができる学生を多く輩出するために本校は更なる発展を遂げてまいります。
そしてもう一つ、ここ地元に新居浜高専があるということです。一緒に勉学に励み、苦労も共にした友との思い出がここに詰まっているということです。皆さんはこの人生における友と言う財産を獲得したのです。今まで通りに、時に友を助けて、時に友を頼って、これから先もこの友を大切にし続けてください。併せて皆さんの母校、新居浜高専もそれに加わってこれからも皆さんを応援し続けていきます。
最後になりましたが、海外から来られた2名の留学生は、母国から遠く離れた新居浜の地での学生生活に多くのご苦労があったことだと思います。それを乗り越えて卒業を成し遂げたこと、心より敬意を表してお祝い申し上げます。いつまでも新居浜での想い出を忘れず、母国と日本の親善友好の架け橋となっていただくことを切にお願いいたします。
以上、卒業生・修了生の皆さんのご健勝を祈念すると共に、社会での益々の活躍を期待して、式辞といたします。
令和7年3月18日
新居浜工業高等専門学校長
鈴木 康司