令和6年度 入学式校長式辞

 ここ新居浜の地でも桜が咲き誇り、新しい季節の訪れを感じられる今日の良き日に、本科新入生207名、専攻科新入生31名、本科編入学生2名、留学生3名、合わせて243名の皆さんを新居浜高専に迎えることができました。教職員一同の大いなる喜びであり、心から歓迎致します。併せてご列席の保護者、ご家族の皆様にも心からお喜び申しあげます。

 

 また、石川新居浜市長をはじめご来賓の皆様には、お忙しい中、入学式にご臨席賜り、厚くお礼申しあげます。

 

 新居浜高専はこの春62周年目を迎え、創立以来9058名の本科卒業生を輩出してきました。また2年生以上の本科在学生832名に皆さん方を加えると、遂に1万人を超える新居浜高専生を迎え入れたことになり、その新たな金字塔を打ち立てた年の新入生となります。

 

 この伝統を築き上げてきた先輩方は、愛媛県はもとより日本全国、世界各地で活躍されて、新居浜高専の名声を高めて頂いています。皆さん方はこの良き伝統を引き継ぎ、次の世代を牽引するリーダーとなれるように努力を積んでください。

 

 本科新入生の皆さんは、厳しい受験を乗り越えて新居浜高専の学生となりました。皆さんの努力に敬意を表します。学校教育法において生徒と呼ばれる中学生や高校生とは異なり、高専は大学と同じ高等教育機関であるので学生と呼ばれます。つまり皆さんは中学校を卒業した15歳であっても全国でたった1%の学生の身分を得た選ばれた者達なのです。では、学生と生徒は何が違うのでしょうか。学生は自分で物事を考え倫理観を持って適切に判断できる素養を求められるということです。更に高専では技術者としての倫理観や人格を養うことが求められます。高度な知識や技術習得はもちろんのこと、学生と呼ばれるにふさわしい品性や礼儀を身につけるために、なお一層精進を重ねて頂きたいと思います。

 

 さて、高専が果たすべき使命の1つとして、それぞれの時代に求められている新たな技術者、研究者を輩出することが求められます。そのために最新の技術・情報をカリキュラムに導入し、社会の要請に的確に応えられる人材育成を進めております。特に近年はSDGs、グリーントランスフォーメーションに関わる環境に配慮して持続可能な取組を行っております。その一翼を担う蓄電池分野で、国立高専機構は、次世代を担う未来技術人材育成事業を行う拠点校として新居浜高専と石川高専を選びました。このように全国の高専を牽引する役割も担いつつ、本校は今後も更なる発展を続けてまいります。

 

 そして高専は5年一貫の実践的技術者教育を行う機関で、将来の選択肢が幅広いことも大きな特徴です。卒業後は就職して技術者として社会で活躍する道はもちろんのこと、専攻科への進学、あるいは大学への編入学の道もあり、その先には大学院への進学もあります。自分の適性を見つめる5年間という時間は高校生よりも多く取ることができますのでじっくりと将来のことを考えてください。

 

 これからの5年間は勉学以外でも多くのことを学べる時間でもあります。みなさんもクラブ活動や各種コンテスト等に積極的に参加してください。勉学以外にも、様々な可能性に果敢にチャレンジしてください。そこでは新たな環境で新しい友達や先生方に出会うことになります。この人との出会いを大切にし、共に人間として大きく成長してください。これは一生の財産として今後の皆さんの人生を豊かなものにしてくれるでしょう。

 

 次に留学生の皆さん、ここ新居浜の地を留学先として選んで頂きましたこと、感謝申し上げます。早くこちらの生活になじみ、色々な人々との交流を深め、地域のグローバル化にも協力してください。そしていつか日本と母国と更に世界の架け橋となり、活躍、貢献できる技術者に成長されることを期待しています。

 

 また、編入学生の皆さんは、高専の環境に早く慣れて、在校生と交流を図ってください。皆さんの経験は、在学生にとって新たな風を吹きこむこととなります。その力で新居浜高専を更に活性化させてください。

 

 さらに、専攻科に入学された新入生の皆さん。新居浜高専の専攻科は、全国で初めて設置された二校のうちの一つで30年以上もの歴史があり、修了生は750名を超えました。皆さんは、この伝統ある専攻科で学ぶことに誇りを持って、技術者としての創造力と実践力を一層磨いて、国際的に通用する技術者、研究者を目指してください。

 

 最後に、保護者の皆様にお願いがございます。新入生のこれからの数年間は、体力、知力の飛躍的向上のみならず、精神的にも大きく成長する大切な時期です。様々な悩みを抱えながら成長していく時です。本校では、教職員一丸となって教育的、精神的な成長を支える所存で、様々なサポート体制も整えております。しかしながら、その成長には保護者、ご家族の皆様の協力が必要不可欠です。どうか、成長を暖かく見守って頂き、励まして頂きますようお願い申しあげます。

 

 結びにあたり、新入生の皆さんのこれからの学生生活が、本当に充実したものとなりますよう心から祈念して、式辞と致します。

 

令和6年4月3日

新居浜工業高等専門学校長

鈴 木 康 司