令和5年度 第58回卒業式・第31回専攻科修了式校長式辞

 今年の冬は寒暖の入れ替わりが多かったと感じました。本校から望める石鎚の山々は、何度も雪化粧を繰り返しつつ、確実に春が近づいたことが実感できるようになりました。

 この暖かき良き日に、新居浜工業高等専門学校の卒業証書を授与された 本科194名の卒業生の皆さん、また修了証書を授与された 専攻科30名の修了生の皆さん、卒業・修了おめでとうございます。教職員を代表して 心からお慶び申し上げます。そして卒業生、修了生を今日まで支え、励ましてこられました保護者の皆様、ご家族の皆様にも心からお祝いを申し上げますと共に、本校に対してのこれまでのご支援、ご協力に対し深く感謝申し上げます。

 

 また、石川新居浜市長をはじめご来賓の皆様には、お忙しい中、卒業式にご臨席賜り厚くお礼申しあげます。

 

 新居浜高専は、創立61年目となり、本校専攻科も31年目を迎えております。この間の歴史の中で、本校を卒業・修了をしたOB・OGの諸先輩方は、国内はもとより世界の発展にも活躍されていることは周知の通りであり、その伝統を引き継ぐ皆さん方にも大きな期待がかけられております。この間、それぞれの時代に求められている新たな技術者、研究者を輩出するために最新の技術・情報をカリキュラムに導入し、愛媛東予地区の国立高等教育機関としての役割を果たしております。特に近年はSDGs、グリーントランスフォーメーションに関わる環境に配慮して持続可能な取組を行っております。その一翼を担う蓄電池分野で、国立高専機構は、次世代を担う未来技術人材育成事業を行う拠点校として新居浜高専と石川高専を選びました。このように全国の高専を牽引する役割も担いつつ、本校は今後も更なる発展を続けてまいります。

 皆さんは新居浜高専で、高い教養、専門知識、問題解決能力、社会性などを身につけて本校を卒業・修了していきます。特に我々は技術者倫理分野の教育について大きな努力を費やしてきました。約束を守れない、虚偽の報告をする、不正な行為を行う、これらで一時しのぎができたとしても、いずれは不備が発覚して多大な代償を払うことになります。技術の不正は、他人の命を脅かすことにも直結します。長い間こつこつと積み上げてきた人としての信頼関係、企業のブランドさえも一気に失います。皆さんは今一度この事を肝に命じて、新居浜高専の卒業生であることに誇りと自信を持って、自分が進むこれからの道を歩んでください。

 そして一緒に勉学に励み、苦労も共にした友をこれからも大切にしてください。今はまだ気が付いていないかもしれませんが、ここまで築き上げてきた出会いは大変に貴重なものとなっており、人生においては大きな財産となっております。今後、あなたが苦労することがあったとしてもそれを支えてくれる友がいます。ある時はあなたが友を支えてあげてください。それが学友という財産そのものです。皆さんの母校、新居浜高専もそれに加わってこれからも応援をし続けていきます。

 

 最後になりましたが、海外から来られた3人の留学生は、母国から遠く離れた新居浜の地での学生生活に多くのご苦労があったことだと思います。特にコロナ禍での生活には大変に不便な思いをしたかもしれませんが、それを乗り越えて卒業を成し遂げたこと、心より敬意を表してお祝い申し上げます。いつまでも新居浜での想い出を忘れず、母国と日本の親善友好の架け橋となっていただくことを切にお願いいたします。

 

 以上、卒業生・修了生の皆さんのご健勝を祈念すると共に、社会での益々の活躍を期待して、式辞といたします。

 

                                         令和6年3月18日
                                       新居浜工業高等専門学校長
                                             鈴木 康司