令和5年度 入学式校長式辞

希望にあふれる春を迎えた今日の良き日に、本科新入生209名、専攻科新入生26名、本科編入学生3名、留学生4名、合わせて242名の皆さんを新居浜高専に迎えることができました。教職員一同の大いなる喜びであり、心から歓迎致します。併せてご列席の保護者、ご家族の皆様にも心からお喜び申しあげます。

 

また、石川新居浜市長をはじめご来賓の皆様には、お忙しい中、入学式にご臨席賜り、厚くお礼申しあげます。

 

新居浜高専は昨年60周年の節目を迎え、創立以来8800名強の卒業生を輩出してきました。卒業生は、愛媛県はもとより日本全国、世界各地に送り出されて、その活躍は社会から高い評価を得ており、わが国の経済発展を持続的に支えています。その新居浜高専の良き伝統を引き継ぎ、次の世代を牽引するリーダーとなれるように努力を積んでください。

 

本科新入生の皆さんは、厳しい受験を乗り越えて新居浜高専の学生となりました。皆さんの努力に敬意を表します。学校教育法において生徒と呼ばれる高校生とは異なり、高専は大学と同じ高等教育機関となるため学生と呼ばれます。つまり皆さんは中学校を卒業した15歳であっても全国でたった1%の学生の身分を得た選ばれた者達なのです。高等教育とは、本校においては高度な技術的教育ということですが、これには単に高度な技術的知識を学ぶというだけでなく、自分で考え倫理観を持って適切に判断できる素養を持つ、つまり技術者としての人格を養うことも含まれます。知識や技術習得はもちろんですが、学生と呼ばれるにふさわしい品性や礼儀を身につけていただき、なお一層精進を重ねて頂きたいと思います。

 

そして高専は5年一貫の実践的技術者教育を行う機関です。柔軟な発想ができる若い時期からの5年一貫の技術教育は、高専の大きな特徴ですが、将来の選択肢が幅広いことも高専の大きな特徴です。卒業後は就職して技術者として社会で活躍する道はもちろんのこと、専攻科への進学、あるいは大学への編入学の道もあり、その先には大学院への進学もあります。自分の適性を見つめる時間は高校生よりも多く取ることができますのでじっくりと将来のことを考えてください。

 

これからの5年間は人生で最も多感な時期でもあります。みなさんもクラブ活動や各種コンテスト等に積極的に参加しください。勉学以外にも、様々な可能性に果敢にチャレンジしてください。そこでは新たな環境で新しい友達や先生方に出会うことになります。この人との出会いを大切にし、共に人間として大きく成長してください。

 

次に留学生の皆さん、ここ新居浜の地を留学先として選んで頂きましたこと、感謝申し上げます。早くこちらの生活になじみ、色々な人々との交流を深め、地域のグローバル化にも協力してください。そしていつか日本と母国と更に世界の架け橋となり、活躍、貢献できる技術者に成長されることを期待しています。

 

また、編入学生の皆さんは、高専の環境に早く慣れて、在校生と交流を図ってください。皆さんの経験は、在学生にとって新たな風を吹きこむことなります。その力で新居浜高専を活性化させてください。

 

さらに、専攻科に入学された新入生の皆さん。新居浜高専の専攻科は、全国で初めて設置された二校のうちの一つで30年もの歴史があります。皆さんは、この伝統ある専攻科で学ぶことに誇りを持って、技術者としての創造力と実践力を一層磨いて、国際的に通用する技術者、研究者を目指してください。

 

新型コロナウイルスによる感染症拡大も新たな科学技術の開発によって、重症化リスクは大きく軽減されました。Withコロナの段階が更に進んで皆さんの学生生活もまた元に戻っていくことでしょう。それでも地球温暖化に伴う気候変動、欧州における新たな国際紛争など、21世紀になってもまだ解決が出来ない数多くの課題に直面しています。その中には、実践的技術者である高専生が課題解決に活躍できる場があります。未来はあなた方の活躍によって大きく変えられるということも目標の一つとしてください。

 

最後に、保護者の皆様にお願いがございます。新入生のこれからの数年間は、体力、知力の飛躍的向上のみならず、精神的にも大きく成長する大切な時期です。様々な悩みを抱えながら成長していく時です。本校では、教職員一丸となって教育的、精神的な成長を支える所存です。しかしながら、精神的な成長には保護者、ご家族の皆様の協力が必要不可欠です。どうか、成長を暖かく見守って頂き、励まして頂きますようお願い申しあげます。

結びにあたり、新入生の皆さんのこれからの学生生活が、本当に充実したものとなりますよう心から祈念して、式辞と致します。

 

令和5年4月5日
新居浜工業高等専門学校長
鈴木 康司

 

(本年の入学式においては、新型コロナウイルス対応として式典時間の短縮を行いました。その際、この校長式辞内容は一部抜粋して読み上げました。)