令和4年度 入学式校長式辞

希望にあふれる春を迎えた今日の良き日に、本科新入生209名、専攻科新入生33名、本科編入学生3名、転入学生1名、留学生2名、合わせて248名の皆さんを新居浜高専に迎えることができました。教職員一同の大いなる喜びであり、心から歓迎致します。

 

ご列席の保護者、ご家族の皆様にも心からお喜び申しあげます。

 

また、石川新居浜市長をはじめご来賓の皆様には、お忙しい中、入学式にご臨席賜り、厚くお礼申しあげます。

 

新入生の皆さんは、これから始まる高専の生活に胸をときめかせ、立派な技術者になることを夢見て入学式を迎えたことと思います。

 

新居浜高専は今から60年前に創設された高専第1期12校のうちの1つであり、創立以来8600名強の卒業生を輩出してきました。卒業生は技術者として、あるいは研究者として、愛媛県はもとより日本全国、世界各地に送り出されて、その活躍は社会から高い評価を得ており、わが国の経済発展を持続的に支えています。その伝統を引き継ぐために、切磋琢磨して勉学に、技術習得に励んでください。

 

高専は5年一貫の実践的技術者教育を行う高等教育機関です。柔軟な発想ができる若い時期からの5年一貫の技術教育は、高専の大きな特徴ですが、将来の選択肢が幅広いことも高専の大きな特徴です。卒業後は就職して技術者として社会で活躍する道はもちろんのこと、専攻科への進学、あるいは大学への編入学の道もあり、その先には大学院への進学もあります。じっくりと自分の適性を見つめて将来のことを考えてください。

 

高専は、学校教育法において大学と同じ高等教育機関であり、生徒ではなく学生と呼ばれます。つまり皆さんは15歳でありながら全国でたった1%の学生の身分を得た選ばれた者達なのです。高等教育とは、本校においては、高度な技術的教育ということですが、これには単に高度な技術的知識を学ぶというだけでなく、自分で考え倫理観を持って適切に判断できる素養を養う、つまり技術者としての人格を養うことも含まれます。学生と呼ばれるにふさわしい品性や礼儀を身につけていただきたいと思います。

 

そしてこの5年間は人生で最も多感な時期でもあります。みなさんもクラブ活動や各種コンテスト等に積極的に参加しください。勉学以外にも、様々な可能性に果敢にチャレンジしてください。新たな環境で新しい友達や先生方に出会うことになります。この人との出会いを大切にし、共に人間として大きく成長してください。

 

次に留学生の皆さん、早くこちらの生活になじみ、日本人学生や新居浜の人々との交流を深めてください。皆さんは母国の代表として来日されました。新居浜高専はもちろんのこと、地域のグローバル化にも協力してください。そしていつか日本と母国と更に世界の架け橋となり、活躍、貢献できる技術者に成長されることを期待しています。

 

また、本科編入学生、転入学生の皆さんは、新居浜高専の環境に早く慣れ親しめるように、在来生と交流を図ってください。これまでの経験を活かして新たないぶきを吹き込み、新居浜高専を活性化させてください。

 

さらに、専攻科に入学された新入生の皆さん。新居浜高専の専攻科は、全国で初めて設置された2校のうちの1つです。皆さんは、この伝統ある専攻科で学ぶことに誇りを持って、技術者としての創造力と実践力を一層磨いて、国際的に通用する技術者、研究者を目指してください。

 

今、人類は新型コロナウイルスによる感染症拡大などと闘っています。また地球温暖化に伴う気候変動、欧州における新たな国際紛争など、21世紀になってもまだ解決が出来ない数多くの課題に直面しています。このままでは、人類が安定して地球で暮らし続けることができなくなる心配があります。世界中の人々が話し合い課題を整理し解決方法「持続可能な開発目標SDGsを推進していくことが必須となりました。ここにも創造性のある実践的技術者の育成を役割とした高専生が活躍できる場があります。未来はあなた方の活躍によって大きく変えられるということも目標の1つとしてください。

 

最後に、保護者の皆様にお願いがございます。新入生のこれからの数年間は、知識・能力の飛躍的向上のみならず、精神的にも大きく成長する大切な時期です。様々な悩みを抱えながら成長していく時です。本校では、教職員一丸となって教育的、精神的な成長を支える所存です。しかしながら、精神的な成長には保護者の皆様、ご家族の皆様の協力が必要不可欠です。どうか、成長を暖かく見守って頂き、励まして頂きますようお願い申しあげます。

 

結びにあたり、新入生の皆さんのこれからの学生生活が、本当に充実したものとなりますよう心から祈念して、式辞と致します。

 

令和4年4月4日

新居浜工業高等専門学校長

鈴 木 康 司

 

 

本年の入学式においては、新型コロナウイルス対応として式典時間の短縮を行いました。その際、この校長式辞内容は一部抜粋して読み上げました。