令和2年度 第55回卒業式・第28回専攻科修了式校長式辞

厳寒に見舞われた冬を経て、新生の息吹を感じるようになったこの良き日に、ただ今、新居浜高専の卒業証書を授与された本科生202名の卒業生、修了証書を授与された専攻科生20名の修了生の皆さん、ご卒業、修了おめでとうございます。教職員を代表して心からお喜び申し上げます。

 

入学以来今日まで、卒業される皆さんを支え、励ましてこられた保護者、ご家族の方にも心からお祝い申し上げますとともに、学校に対するこれまでのご支援、ご協力に対し深く感謝申し上げます。

 

また、ご多忙の中この晴れの式典にご臨席賜りました石川新居浜市長はじめ、ご来賓の皆様に篤くお礼申し上げます。

 

皆さんが学んだ新居浜高専は、国立高専としては全国に先駆け、昭和37年(1962年)に創立された一期校で、来年度は創立より60年目の年となります。この間、科学技術創造立国を標榜する日本の発展に必要とされる実践的創造的技術者を8500名近く、世に送り出してきました。これら皆さんの先輩は、日本の産業界を支えてきています。

 

ただ、社会の変化、とりわけ科学技術の進歩は著しく、現代はSociety5.0の時代で求められるグローバル化やデジタルトランスフォーメーションが推進され、高専を取り巻く環境も大きく変化してきました。新居浜高専は時代の変化に対応し、「社会実装教育を基盤とする地域の次世代型技術者(人財)の育成」事業において平成30年度に特別課程を開講しました。昨年度は卒業式を挙行できなかったため、今回初めて卒業式で特別課程修了証を授与しました。

 

すでに卒業した皆さんを含め、社会のめまぐるしい変化にも適切に対応しながら、今日の新居浜高専の発展を築いてきています。目前となった60周年という大きな節目に、これまでの歴史を振り返り、新たな未来を構想することは、今後の新居浜高専の更なる発展を模索する上で大変重要です。

 

新居浜高専は基本方針・教育理念として「知恵・行動力・信頼」を掲げています。皆さんの学びは机上のみではなく、社会や地域と連携して日々の積み重ねにより自身が獲得されたものと思います。こうした「経験知」(経験による叡智)は、高専という学校種における教育成果の大きな部分を占めていると思います。

 

卒業生、修了生の皆さんは、本校を巣立ち、ソーシャルドクター(社会のお医者さん)として、様々な場面で課題解決に取り組んでください。ピンチをチャンスにする高専卒の意気込みを期待しています。

 

最後になりましたが、留学生は母国から遠い新居浜の地での勉学生活にはご苦労があったことと思います。ご卒業、心よりお祝い申し上げます。いつまでも新居浜での想い出を忘れず、母国と日本の親善友好の架け橋となっていただくことを切にお願いいたします。

 

以上、卒業生・修了生の皆さんの健勝を祈念すると共に、社会での益々の活躍を期待して、式辞といたします。

 

 

令和3年3月16日
 新居浜工業高等専門学校長
八木 雅夫