平成31年度 入学式校長式辞

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 

本日新たに、本科新入生210名、専攻科新入生18名、本科編入生5名、留学生2名、合わせて235名の皆さんを新居浜高専にお迎えすることができました。教職員一同の大いなる喜びであり、心から歓迎します。

 

また、ご列席の保護者の皆様、ご家族の皆様にも心からお慶び申し上げます。石川新居浜市長をはじめご来賓の皆様には、お忙しい中、入学式にご臨席賜り、厚くお礼申し上げます。

 

新入生の皆さんは、今日、豊かな歴史文化を有する工業の都というにふさわしいこの地で育まれた新居浜高専の一員となりました。これから始まる高専の生活に胸をときめかせ、立派な技術者になることを夢見て今日の入学式を迎えたことと思います。

 

新居浜高専は1962年(昭和37年)に創設された高専制度の第1期校であり、以来8,000名を超える卒業生を輩出してきました。卒業生は技術者として、あるいは研究者として様々な分野で立派に活躍しています。

 

高専は、皆さんの先輩の活躍によって社会的に高く評価されており、海外でも注目されています。たとえば、5月には、タイで新たな高専が開校予定です。最近では、新聞、雑誌等に高専の特集記事がしばしば掲載され、高専における人財育成の素晴らしさが紹介されています。高専教育に対する社会の期待が 一層大きくなっています。

 

高専制度の最大の特徴は、早い時期からの専門教育、それを支える5年間一貫教育にあります。自ら学ぶことの大切さを身に付け、知識や能力をどんどん吸収し、グループやチームでコミュニケーションを深めながら柔軟な発想で課題解決をめざします。本科の五年間は、いわゆる受験戦争に飲み込まれることなく、じっくりと勉学に励むことができ、心身の成長にも好影響を与えることが期待されます。

 

高専生は高専特有の学生生活を大いに楽しみながら成長を遂げています。ロボコン、プロコン、デザコン、プレコンという四つの高専定番コンテスト、コンペティションに加え、鳥人間コンテスト、エコマイレッジチャレンジ、情報オリンピックなど、各種のクラブ活動やコンテスト等に積極的に参加し、素晴らしい成績を挙げています。また、最近は、オーストラリアや台湾などの本校との提携校への短期留学や、カナダなどへの長期留学によって世界に目を向け、その後の学生生活にその経験を活かしている学生諸君も増えています。皆さんにチャレンジの心意気があれば無限の可能性があります。さらに、在学中に育まれる友人関係は一生の宝と言えるでしょう。

 

本科編入生、留学生のみなさんも、こうした高専教育の強みや特性を大いに活かして、さらなる成長を期待しています。

 

高専は、高等学校と同じ年代を含みますが、学校教育法において、大学と同じ高等教育機関であり、生徒ではなく学生と呼びます。学生と呼ばれるにふさわしい品性や礼儀を身につけていただきたいと思います。

 

新居浜高専は、5年間の教育において「知恵・行動力・信頼」を教育理念とし、「学びと体験を通して、未来を切り開く知恵と行動力を持った信頼される技術者を育てる」ことを教育の基本方針としています。

 

 さらに、専攻科に入学された18名の新入生の皆さん。国立高専の専攻科は、平成4年に、全国でまず2校のみに設置されました。その2校の1つが新居浜高専です。これまでに600名を超える修了生を輩出しております。皆さんは、この伝統ある専攻科で学ぶことに誇りを持って、技術者としての創造力と実践力を一層磨いて、国際的に通用する技術者を目指して下さい。

 

新居浜市は別子銅山の採鉱・精錬を支える工業技術をベースにして工業都市として発展してきました。このために、新居浜には独特の技術を持った沢山の企業があります。学びの場は、学内のみに留まらず、町や地域全体です。このような環境で技術を学ぶことができる皆さんは大変幸せと思います。

 

次に、遠く祖国を離れ、モンゴルとマレーシアから来られた2名の留学生の皆さん、早く新居浜の生活になじみ、日本人学生や新居浜の人々との交流を深めてください。これらの交流を通して新居浜高専のグローバル化にも貢献してください。皆さんが母国や世界の発展に貢献できる技術者に成長されることを期待しています。

 

最後に、保護者の皆様にお願いがございます。新入生のこれからの5年間は知識・能力の飛躍的向上のみならず、精神的にも大きく成長する重要な時期であり、様々な悩みを抱えながら成長していく時期です。本校では教職員一丸となって教育に取り組み、心身の成長を支えるべく全力を尽くす所存です。しかし、学生の成長には保護者の皆様の協力が必要です。どうか、成長をあたたかく見守って頂き、励まして頂きますようお願い申し上げます。

 

結びに当たり、新入生の皆さんが初心を忘れることなく、充実した、有意義な高専生活を送られることを祈念して、式辞といたします。

 

平成31年4月3日
新居浜工業高等専門学校長
八 木 雅 夫