平成30年度 入学式校長式辞

道前の野に春の光が満ち溢れているこの良き日に、本科新入生209名、留学生1名、編入学生2名、専攻科新入生30名、合わせて242名の皆さんを、伝統ある新居浜工業高等専門学校の一員として迎えました。

 

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。教職員一同を代表して、皆さんを歓迎します。ご列席の保護者の皆様、ご家族の皆様にも心からお慶び申し上げます。

 

また、入学式にあたり、新居浜市長 石川勝行 様をはじめ、ご来賓の皆様には、大変お忙しい中、ご臨席賜り、厚くお礼申し上げます。

 

現在、国立高専は全国に51校ありますが、新居浜高専は1962年(昭和37年)に高専制度の第1期校、12校の一つとして設立されました。これまでに、8000名近くの卒業生を輩出しています。

 

高専の技術者教育は、皆さんの先輩の活躍によって社会的に高く評価されており、海外でも注目されています。最近では、新聞、雑誌等に高専の特集記事がしばしば掲載され、技術者教育の素晴らしさが紹介されています。高専教育に対する社会の期待が 一層大きくなっています。

 

ところで、高専は大学と同じ高等教育機関です。皆さんはこれから高度な技術教育を受ける訳ですが、これには、高度な技術的知識を学ぶということだけでなく、自分で考え、倫理観を持って適切に判断できる素養を養う、つまり、技術者としての人格を養うことも含まれます。高等教育機関で学ぶという自覚を持って、これからの学生生活を送って下さい。

 

さて、柔軟な発想ができる若い時期からの5年一貫の技術者教育は、高専の大きな特徴ですが、将来の選択肢が広いことも特徴の一つです。卒業後は、就職して社会で活躍する道はもちろんのこと、専攻科への進学、あるいは大学への編入学の道もあります。また、その先には大学院への進学もあります。したがって、技術者のみならず、研究者、教育者など様々な選択肢があります。これからの高専での勉学を通して自分の将来をじっくり考えて下さい。

 

さらに、5年一貫教育は、いわゆる受験戦争に飲み込まれることなく学生生活を送ることができますので、高専生は高専特有の学生生活を大いに楽しんでいます。高専ロボコン、鳥人間コンテスト、ホンダエコマイレッジチャレンジなど、各種のクラブ活動やコンテスト等に積極的に参加し、素晴らしい成績を挙げています。また、最近は、オーストラリアや台湾などの本校との提携校への短期留学や、カナダなどへの1年間の長期留学によって世界に目を向け、その後の学生生活にその経験を活かしている学生諸君も増えています。皆さんにチャレンジの心意気があれば無限の可能性があります。勉学以外にも様々な可能性に果敢にチャレンジして下さい。

 

さて、本校があります新居浜市は、別子銅山の採鉱・精錬を支える工業技術をベースにして、工業都市として発展してきました。このために、新居浜市には独自の技術を持った沢山の企業があります。本校では、こうした地の利を活かして、また地域企業の皆様のご協力を得て、地域の次世代型技術者育成を目指した新しい教育プログラムも立ち上げています。このような環境で技術を学ぶことができる皆さんは、大変恵まれていると思います。

 

ところで、学ぶということは、人から教えられたことを吸収するだけでなく、自ら考え、行動することです。そうして得た新たな知識・能力を、自分のものとして消化できたときに、学ぶことの本当の楽しさがあります。しかし、学ぶことはいつも楽しいとは限りません。うまくいかないこと、悩むことも沢山あることでしょう。それらを乗り越える最も良い方法は、何でも話せる仲間を持つことです。決して一人で悩まないで下さい。クラブ活動や各種行事に積極的に参加し、大いに楽しみながら多くの仲間を作って下さい。高専時代にできた仲間は、一生の宝物となるはずです。

 

次に、専攻科に入学された30名の新入生の皆さん。国立高専の専攻科は、平成4年に、全国でまず2校のみに設置されました。その2校の1つが我が新居浜高専です。これまでに600名を超える修了生を輩出しております。皆さんは、この伝統ある専攻科で学ぶことに誇りを持って、技術者としての創造力と実践力を一層磨いて、国際的に通用する技術者を目指して下さい。また、先程述べましたように、技術者には知識・実践能力だけでなく、高潔な人格が求められます。人格向上についても自己研鑽に励んでください。

 

最後に、保護者の皆様にお願いがございます。新入生のこれからの5年間は、知識・能力の飛躍的な向上のみならず、精神的にも大きく成長する大切な時期です。様々な悩みを抱えながら成長していく時です。本校では、教職員一丸となって教育を行うと共に、精神的な成長を支える所存です。しかしながら、精神的な成長には保護者の皆様、ご家族の皆様のご協力が必要不可欠です。どうか、成長を暖かく見守って頂き、励まして頂きますようお願い申し上げます。

 

結びに当たり、新入生の皆さんが初心を忘れることなく、充実した、有意義な高専生活を送られることを祈念して、式辞といたします。

 

平成30年4月4日

新居浜工業高等専門学校長

迫 原 修 治