平成28年度 入学式校長式辞

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

新居浜工業高等専門学校自慢の桜も、皆さんの入学を歓迎するように満開となっています。

この良き日に、本科新入生209名、本科編入生3名、留学生2名、専攻科新入生21名、合わせて235名の皆さんを、伝統ある新居浜工業高等専門学校の一員としてお迎えしました。教職員一同の大いなる喜びであり、心から歓迎します。ご列席の保護者の皆様、ご家族の皆様にも心からお慶び申し上げます。

また、新居浜市長石川勝行様をはじめ、ご来賓の皆様には、お忙しい中、入学式にご臨席賜り、厚くお礼申し上げます。

現在、国立高専は全国に51校ありますが、新居浜高専は1962年（昭和37年）に高専制度の第１期校、12校の一つとして設立され、以来7500名を超える卒業生を輩出してきました。卒業生は、技術者として、あるいは研究者として様々な分野で立派に活躍しています。

高専制度の最大の特徴は、早い時期からの5年一貫の実践的技術者教育にあります。柔軟な発想ができる若い時期からの技術教育は、創造力豊かな技術者の育成に適しています。また、5年一貫教育は、いわゆる受験戦争に飲み込まれることなく、じっくりと勉学に励むことができ、精神的成長にも好ましい影響を与えていると思います。

新入生の皆さんは、これから始まる高専での学 生生活に胸をときめかせ、立派な技術者になることを夢見て、今日の入学式を迎えたことと思います。高専は、大学と同じ高等教育機関です。高等教育とは、本校のような技術者教育においては、高度な技術的教育ということですが、私は、高度な技術的教育というのは、単に高度な技術的知識を学ぶというだけでなく、 自分で考え、倫理観を持って適切に判断できる素養を養う、つまり、技術者としての人格を養うことも含まれると思っています。新入生の皆さんは、高等教育機 関で学ぶという自覚を持って、これからの学生生活を送ってほしいと思います。

また、新居浜市は別子銅山の採鉱・精錬を支える工業技術をベースにして、工業都市として発展してきました。このために、新居浜市には独特の技術を持った沢山の企業があります。このような環境で技術を学ぶことができる皆さんは、大変恵まれていると思います。

さて、皆さんもよく知っているように、世界には、エネルギーと食料の不均衡から、貧富の差が拡大し、貧困にあえぐ多くの人達がいます。また、これが原因と思われる暴動やテロが頻発し、難民が世界に溢れています。さらに、我々はかつて経験したことの無い深刻な地球規模の環境問題に直面しています。これらの問題は簡単には解決できませんが、解決には技術 の進歩が必要なことは確かです。日本には世界に誇れる、世界をリードしているすばらしい技術が沢山ありますが、これからの技術の進歩においても日本の果たす役割は非常に大きいと思います。新しい技術の開発には、柔軟な発想力を持った技術者の育成が必要不可欠です。皆さんには、是非これに応えてほしいと思います。

ところで、学ぶということは、人から教えられたことを吸収するだけでなく、自ら考え、行動することであり、そうして得た新たな知識・能力を自分のものとして消化できたときに、学ぶことの本当の楽しさがあります。

しかし、学ぶことはいつも楽しいとは限りません。うまくいかないこと、悩むことも沢山あることでしょう。それらを乗り越える最も良い方法は、何でも話せる真の友人を持つことです。決して一人で悩まな いでください。クラブ活動や各種行事に積極的に参加し、大いに楽しみながら多くの友人を作ってください。高専時代にできた友人は、一生の友、宝物となるはずです。

さて、今年も、遠く祖国を離れ、新居浜高専で学ぶ2名の留学生、インドネシアとマレーシアからの留学生をお迎えしました。早く新居浜の生活になじみ、日本人学生や新居浜の人々との交流を深めてください。これらの交流を通して新居浜高専のグローバル化にも貢献してください。母国の発展に貢献できる技術者に成長されることを期待しています。

次に、専攻科に入学された21名の新入生の皆さん。国立高専の専攻科は、平成4年に、全国でまず2校のみに設置されました。その2校の1つが我が新居浜高専です。皆さんは、この伝統ある専攻科で学ぶことに誇りを持って、技術者としての創造力と実践力を一層磨いて、国際的に通用するエンジニアを目指してください。また、エンジニアには知識・能力だけでなく、高潔な人格が求められます。人格向上についても自己研鑽に励んでください。

最後に、保護者の皆様にお願いがございます。新入生のこれからの5年間は、知識・能力の飛躍的向上のみならず、精神的にも大きく成長する大切な時期です。様々な悩みを抱えながら成長していく時です。本校では、教職員一丸となって教育、精神的な成長を支える所存です。しかし、精神的な成長には保護者の皆様、ご家族の皆様の協力が必要不可欠です。どうか、成長を暖かく見守って 頂き、励まして頂きますようお願い申し上げます。

結びに当たり、新入生の皆さんが初心を忘れることなく、充実した、有意義な高専生活を送られることを祈念して、式辞といたします。

平成２８年４月５日
新居浜工業高等専門学校長
迫　原　修　治