平成27年度 入学式校長式辞

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 

本日新たに、本科新入生210名、専攻科新入生22名、本科編入生4名、留学生2名、合わせて238名の皆さんを新居浜工業高等専門学校にお迎えすることができました。教職員一同の大いなる喜びであり、心から歓迎します。

 

また、ご列席の保護者の皆様、ご家族の皆様にも心からお慶び申し上げます。石川新居浜市長をはじめご来賓の皆様には、お忙しい中、入学式にご臨席賜り、厚くお礼申し上げます。

 

新入生の皆さんは、今日、伝統ある新居浜高専の一員となりました。これから始まる高専の生活に胸をときめかせ、立派な技術者になることを夢見て今日の入学式を迎えたことと思います。

 

新居浜高専は1962年(昭和37年)に高専制度の第1期校として設立され、以来7000名を超える卒業生を輩出してきました。卒業生は技術者として、あるいは研究者として様々な分野で立派に活躍しています。

 

高専制度の最大の特徴は、早い時期からの技術者教育、それを支える5年間一環教育にあります。知識や能力をどんどん吸収し、柔軟な発想ができる若い時期に工学の専門教育を行うことは、同じ高等教育機関である大学における工学教育とは異なり、創造力豊かな技術者の養成が期待されます。また、5年間一貫教育は、いわゆる受験戦争に飲み込まれることなく、じっくりと勉学に励むことができ、精神的成長にも好影響を与えることが期待されます。

 

新居浜高専は、5年間一貫教育において「知恵・行動力・信頼」を教育理念とし、「学びと体験を通して、未来を切り開く知恵と行動力を持った信頼される技術者を育てる」ことを教育の基本方針としています。

 

新居浜市は別子銅山の採鉱・精錬を支える工業技術をベースにして工業都市として発展してきました。このために、新居浜には独特の技術を持った沢山の企業があります。このような環境で技術を学ぶことができる皆さんは大変幸せと思います。

 

さて、皆さんもよく知っているように日本は天然資源には恵まれていません。しかし、日本には世界に誇れる、世界をリードしているすばらしい技術が沢山あります。これからも日本が世界をリードしていくためにはこれらの技術を支える、あるいは新しい技術を開発していく柔軟な発想力を持った若い技術者が必要です。

 

また、世界に目を向けると、エネルギーと食料の不均衡から、貧富の差が拡大し、貧困にあえぐ多くの人たちがいることも事実です。この問題は簡単には解決できませんが、解決には技術の進歩が必要なこと は確かです。ただし、技術は両刃の剣で、貧富の拡大につながる場合があることも事実です。技術者を目指す皆さんは是非このこともこれから考えながら学んで ください。

 

学ぶということは、人から教えられることを吸収するだけでなく、自ら考え、自ら行動することであり、そうして新たな知識・能力を自分のものとして消化できたときに本当の楽しさがあります。

 

しかし、学ぶことはいつも楽しいとは限りません。うまくいかないこと、悩むことも沢山あることでしょう。それらを乗り越える最も良い方法は、何でも話せる真の友人を持つことです。決して一人で悩まな いでください。クラブ活動や各種行事に積極的に参加し、大いに楽しみながら多くの友人を作ってください。高専時代にできた友人は、一生の友となるはずです。

 

次に、遠く祖国を離れ、インドネシアとラオスから来られた2名の留学生の皆さん、早く新居浜の生活になじみ、日本人学生や新居浜の人々との交流を深めてください。これらの交流を通して新居浜高専のグローバル化にも貢献してください。皆さんが母国の発展に貢献できる技術者に成長されることを期待しています。

また、専攻科の22名 の皆さんは、技術者としての創造力と実践力を一層磨いて国際的に通用するエンジニアを目指してください。皆さんが専攻科を卒業すると大学の工学部を卒業した学生と同じ年になりますが、皆さんには大いなる実践力が身についていることでしょう。また、エンジニアは知識・能力だけでなく、高潔な人格が求められます。人格向上についても自己研鑽に励んでください。

 

最後に、保護者の皆様にお願いがございます。新入生のこれからの5年間は知識・能力の飛躍的向上のみならず、精神的にも大きく成長する重要な時期であり、様々な悩みを抱えながら成長していく時期です。本校では教職員一丸となって教育、精神的な成長を支えるべく全力を尽くす所存です。しかし、精神的な成長にはご父兄の皆様の協力が必要です。どうか、成長を暖かく見守って頂き、励まして頂きますようお願い申し上げます。

 

結びに当たり、新入生の皆さんが初心を忘れることなく、充実した、有意義な高専生活を送られることを祈念して、式辞といたします。

 

平成27年4月3日
新居浜工業高等専門学校長
迫 原 修 治