平成26年度 第49回卒業式・第22回専攻科修了式校長式辞

厳しかった冬も終わり、道前の野の若草に新生の息吹を感じるようになったこの良き日に、ただ今新居浜高専の卒業証書を授与された本科174名の卒業生、修了証書を授与された専攻科16名の修了生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 

教職員を代表して心からお慶び申し上げます。

 

また、入学以来今日まで卒業される皆さんを支え、励ましてこられた保護者、ご家族の方にも心からお祝い申し上げますとともに、新居浜高専に対するこれまでのご支援、ご協力に対し深く感謝申し上げます。

 

また、ご多忙の中、晴れの式典にご臨席賜りました新居浜市長石川勝行様はじめ、ご来賓の皆様に篤くお礼申し上げます。

 

この5年の間には色々なことがありました。東日本の大震災という希有の災害の発生では命の尊さや人と人との絆について考えさせられました。新居浜高専創立50周年の節目に在籍し記念行事に参加することにより、新居浜高専生としての自覚を新たにしたと思います。また、勉学、課外活動など日常生活の中で、多くの苦しいこと、楽しいことがあったと思います。それらの経験が今日の皆さんの糧となっています。

 

皆さんは、新居浜高専において、多くの友や先生方との出会いがありました。その出会いや友情を通して、人格の形成に影響を受けたり与えたりし成長されたことでしょう。感受性の強い若き日の経験は、一生の宝といえるでしょう。私は5年前に皆さんと同時に新居浜高専に赴任し、皆さんの日々の成 長を見させていただきました。共に過ごした楽しい日々は、私にとっても貴重な人生の一ページとなりました。

 

皆さんがこれから船出する社会は刻々と変化しています。特に、多くの皆さんが進まれる科学技術の分野では、進歩・変化のスピードが非常に 速くなっています。変化に適切に対応するためには、自ら新しい世の扉を敲き、次世代の社会を切り開いていく気概を持っていなくてはなりません。

 

科学技術を進歩させるためには、多様な発想が必要とされます。高専教育の特徴は、中学卒業時の頭の柔軟な早期から専門教育を始め、5年間という長期一貫教育にあります。高専は、日本の多くの技術者の養成と異なる貴重な別ルートを提供しています。したがって、高専卒業者には、一味違った発想をする技術者であることが期待されます。卒業生の皆さんには、その期待に応える自信と自負を持ち続けていただきたいと思います。

 

皆さんがこれから社会に出て、仕事、趣味などで何かを成就しようとするとき、必要なことはすぐに諦めることなく継続して新しい扉を模索す ることです。いくら能力の有る人でも短期間で目標を達成できることはほとんどありません。目標に向かって着実にこつこつと努力することこそが大きな力であ ると思います。愛媛県出身でアメリカカリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授がノーベル物理学賞を受賞されました。LEDと言われる青色発光ダイオードの開発が評価されたものです。中村先生には研究の才能があるのはもちろんですが、日頃大変な努力をされておられることがわかりました。途中での失敗にも負けず継続して研究を続けてこられました。何事を成就するにも絶え間ない努力が必要であると強く感じさせられました。まさに継続こそ力なりであります。

 

卒業生の皆さんのこれからの人生は長い道のりです。その人生行路の中でこれまでにもまして“継続して扉を敲き続けること”を実践していただきたいと思います。

 

と同時に、私の経験を振り返るといつも、「少年老い易く、学なり難たし」を痛切に実感させられています。一寸の光陰を軽んじることなく、日々精進を重ねられることを切に希望します。そして、全ての皆さんが大いなる達成感を感じる人生を送っていただきたいと思います。

 

卒業生の皆さんは、寮生活や同じ仲間との長期間に渡る勉学などで生涯の友を得た人も多いと思います。この絆を大切にするとともに、同窓会 組織などを通じて仲間の輪を広げていくことも新しい技術情報の交換に有益なだけでなく、人生の幅を広げることになると信じています。それとともに、新たに 卒業する皆さんが社会において諸先輩の活躍を引き継がれることも、母校の発展には不可欠です。新居浜高専はいつまでも、卒業生の皆さんが力強く羽ばたき続 けられるための原点、心のよりどころとしてありたいと思っています。これからの長い人生行路の中で羽を休めたい時があるかもしれません。その時はがんばっていた新居浜高専での青春時代を思い出していただきたいと思います。また、新居浜高専で学んだという誇りをいつまでも持ち続けてください。

 

最後になりましたが、留学生の皆さんは母国から遠い日本、特に新居浜の地での勉学生活にはご苦労があったことと思います。ご卒業、心よりお祝い申し上げます。いつまでも新居浜での想い出を忘れず、皆さんの母国と日本の親善友好の架け橋となっていただくことを切にお願い致します。

 

以上、卒業生・修了生の皆さんのご健勝を祈念するとともに、社会での益々の活躍を期待して、式辞と致します。

 

平成27年3月16日
新居浜工業高等専門学校長
鈴 木 幸 一