平成25年度 第48回卒業式・第21回専攻科修了式校長式辞

国領川の岸の青草に新生の息吹を感じるようになったこの良き日に、ただ今新居浜高専の卒業証書を授与された本科生205名の卒業生、修了証書を授与された専攻科生26名の修了生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 

教職員を代表して心からお慶び申し上げます。

 

また、入学以来今日まで卒業される皆さんを支え、励ましてこられた保護者、ご家族の方にも心からお祝い申し上げますとともに、学校に対するこれまでのご支援、ご協力に対し深く感謝申し上げます。

 

また、ご多忙の中この晴れの式典にご臨席賜りました石川新居浜市長はじめ、ご来賓の皆様に篤くお礼申し上げます。

 

今年は例年になく雪の多い日がありました。雪を頂いた新居浜の南山である赤石山系はまるでアルプスの様な雰囲気で感動しました。新居浜高専は燧灘と南山とに挟まれた美しい新居浜の地にあります。卒業生のみなさんは5年間あるいは7年間の新居浜高専での勉学を終え就職あるいは進学で新たな環境に出て行くことに胸を膨らませておられることと思います。この間には色々なことがありました。その中でとくに、3年前の東北の大震災という希有の災害の発生では命の尊さや人間の絆について考えさせられました。また、昨年は新居浜高専創立50周年を迎え、記念式典をはじめ種々の記念事業を通して本校の歴史を振り返り、新居浜高専生としての自覚を新たにしたと思います。また、勉学、課外活動などの日常生活の中で、多くの苦しいことや楽しいことがあったことと思いま す。それらの経験が今日のみなさんの成長の糧となっています。

 

みなさんが学んだ新居浜高専の建学の精神は、校歌の一節にある“叡智を磨き技を練り、われら新しき世の扉敲かん”であります。また、教育の基本方針として、「学びと体験を通して、未来を切り拓く知恵と行動力を持った信頼される技術者を育てる」を掲げています。本校で修得した叡智と技術を持って新しい世界の扉を開き、社会の進歩に貢献して下さい。

 

新居浜高専は、これまで取り巻く社会情勢の変化にも適切に対応しながら、この実践的技術者の養成という使命を継続して果たしてきました。50周年記念事業を通して新居浜高専の歴史を振り返って改めて感じさせられたことは、何かを成就するために最も重要なことは少しづつでも継続して努力することであるということでした。

 

皆さんがこれから社会に出て、仕事であれ、趣味であれ、何かを成就しようとするとき、必要なことはすぐにあきらめたり止めてしまうこと なく継続していくことです。継続していると目立たないけれども永い年月には着実に変化していきます。いくら能力の有る人でも短期間で目標を達成できることはほとんどありません。目標に向かって着実にこつこつと継続して努力することこそが大きな力であると思います。

 

卒業生の皆さんのこれからの人生は大変長い道のりです。その人生行路の中でこれまでにもまして“継続こそが力なり”を実践していただきたいと思います。そして、いつか全ての皆さんに何らかの達成感を感じるような人生を送っていただきたいと思います。

 

高専卒業生は寮生活や同じ仲間との長期勉学などで生涯の友を得た人も多いと思います。この絆を大切にするとともに、同窓会組織などを通じて仲間の輪を広げていくことも新しい技術情報の交換に有益なだけでなく、人生の幅を広げることになると信じています。そのために、新居浜高専はいつまでも卒業生を見守り、できるだけの支援を続けるつもりです。それとともに、新たに卒業する皆さんが社会において諸先輩の活躍を引き継がれることも、母校の発 展には不可欠です。

 

卒業生・修了生の皆さん、新居浜高専において5年間あるいは7年間で磨いた叡智と訓練で身に付けた技・実践力に自信を持って、世界へ未来へ大きく羽ばたいてください。新居浜高専はいつまでも、卒業生のみなさんが力強く羽ばたき続けられるた めの原点、心のよりどころとしてありたいと思っています。みなさんのこれからの長い人生行路の中で羽を休めたいときがあるかも知れません。その時はがん ばっていた新居浜高専での青春時代を思い出していただきたいと思います。また、新居浜高専で学んだという誇りをいつまでも持ち続けてください。

 

最後になりましたが、留学生の皆さんは母国から遠い日本とくに新居浜の地での勉学生活にはご苦労があったことと思います。ご卒業、心よりお祝い申し上げます。いつまでも新居浜での想い出を忘れず、皆さんの母国と日本の親善友好の架け橋となっていただくことを切にお願い致します。

 

以上、卒業生・修了生の皆さんの健勝を祈念すると共に、社会での益々の活躍を期待して、式辞と致します。

 

平成26年3月17日
新居浜工業高等専門学校長
鈴 木 幸 一