平成23年度 第46回卒業式・第19回専攻科修了式校長式辞

国領川の岸の青草に新生の息吹を感じるようになったこの良き日に、ただ今新居浜高専の卒業証書を授与された本科生199名の卒業生、修了証書を授与された専攻科生23名の修了生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 

教職員を代表して心からお慶び申し上げます。

 

また、入学以来今日まで卒業される皆さんを支え、励ましてこられた保護者、ご家族の方にも心からお祝い申し上げますとともに、学校に対するこれまでのご支援、ご協力に対し深く感謝申し上げます。

 

また、ご多忙の中この晴れの式典にご臨席賜りました佐々木新居浜市長はじめ、ご来賓の皆様に篤くお礼申し上げます。

 

さて、昨年は、3月11日に発生した東日本大地震で多くの方々が被災され、災害復旧への努力がなされました。その中で、絆と言う言葉で表されるような人と人との連帯感や助け合いの尊さを人々が感じられたことが救いとなっています。

 

卒業生の皆さんも、命の尊さや家族・友人の大切さについてもう一度考えてみる機会となったのではないかと思います。そのような大切な気持ちを、将来とも持ち続けていただきたいと強く希望しています。

 

皆さんが学んだ新居浜高専は、高専としては全国に先駆け昭和37年(1962年)に創立され、本年4月には創立50周年を迎えます。この間、科学技術創造立国を標榜する日本の発展に必要とされる実践的技術者を6500人以上、世に送り出してきました。これら皆さんの先輩は中核的技術者として日本の産業界を支えてきています。

 

ただ、この半世紀の社会の変化、とりわけ科学技術の進歩は著しく、高専を取り巻く環境も大きく変化してきました。私たちの先輩はそのよ うな変化にも適切に対応しながら今日の新居浜高専の発展を築いてきています。新居浜高専の建学の精神は、校歌の一節にある“叡知を磨き技を練り、われら新しき世の扉敲かん”であると思います。この“高度な理論を修得し、更に実践的技術を身に付けた上で、ともに新しい世の発展に尽くしていこう”という高い志は、新居浜高専の伝統として今後とも引き継いでいきたいと思います。

 

科学技術の進歩には、多様な発想が必要とされます。多様な発想は様々な教育背景を必要とします。高専教育の特徴は、中学卒業時の頭の柔軟な早い時期から専門教育を始め、5年間という長期一貫教育にあります。日本の多くの技術者が高等学校卒業後の大学の工学部で教育を受けていることを考えると、高専は技術者養成の貴重な別ルートを提供しています。すなわち、高専卒業者は一味違った発想をする技術者であることが期待されます。卒業生の皆さんには、その期待に応える自信と自負を持ち続けていただきたいと思います。

 

高専卒業生は寮生活や同じ仲間との長期勉学などで生涯の友を得た人も多いと思います。この絆を大切にするとともに、同窓会組織などを通じて仲間の輪を広げていくことも新しい技術情報の交換に有益なだけでなく、人生の幅を広げることになると信じています。そのために、新居浜高専はいつまでも卒業生を見守り、できるだけの支援を続けるつもりです。その最大の支援は、何と言っても母校が今後とも発展し続けることであります。それとともに、新たに卒業する皆さんが社会において諸先輩の活躍を引き継がれることも、母校の発展には不可欠です。

 

卒業生・修了生の皆さん、新居浜高専において5年間あるいは7年間で磨いた叡智と訓練で身に付けた技・実践力に自信を持って、大きく社会に羽ばたいてください。また、新居浜高専で学んだという誇りをいつまでも持ち続けてください。

 

最後になりましたが、留学生の皆さんは母国から遠い日本とくに新居浜の地での勉学生活にはご苦労があったことと思います。ご卒業、心よりお祝い申し上げます。いつまでも新居浜での想い出を忘れず、皆さんの母国と日本の親善友好の架け橋となっていただくことを切にお願い致します。

 

以上、卒業生・修了生の皆さんの健勝を祈念すると共に、社会での益々の活躍を期待して、式辞と致します。

 

平成24年3月16日
新居浜工業高等専門学校長
鈴 木 幸 一