平成23年度 入学式校長式辞

式辞に当たりまして、まず、先日発生しました東日本大震災で被災された方々に心からお見舞い申し上げると共に、犠牲者のご冥福をお祈り申し上げます。自然の力に対する人間の無力さを感じさせられますが、ご家族を失った方の心情を察するとやりきれないものがあります。新入生の皆さんも、命の尊さや家族の大切さについてもう一度考えて見てください。

 

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 

新居浜高専では校内の多くの桜の大木が満開に咲き誇っています。今日この良き日に、本科新入生210名、専攻科新入生30名、本科編入生5名、留学生3名、あわせて248名の皆さんを新居浜工業高等専門学校にお迎えすることができましたことは、教職員の等しく喜びとするところであり、心より歓迎いたします。

 

また、ご列席の保護者、ご家族の皆様にも心からお慶び申し上げます。佐々木新居浜市長をはじめご来賓の方々には、お忙しい中この入学式にご臨席賜り、ありがとうございました。篤くお礼申し上げます。

 

新入生の皆さんは、今日新居浜高専の門をくぐり、これから始まる学園生活に胸をときめかせておられることと思います。ちょっとした旅立ちにも心のときめきを感じるのは、新しい自分に出会えるかもしれないという期待とともに、自分自身が心に決めたことを始めるよろこびを感じるからでしょう。皆さんは、立派な技術者になるという高い志をもって新たな出発をされました。この初心を忘れることなく、有意義な学生生活を送ってほしいと思っています。また、新居浜高専という新たな環境で、新しい友達や先生方に出会うことになります。 この人との出会いを大切にし、共に、人間として大きく成長していただきたいと思います。

 

新居浜高専は、1962年、昭和37年に、実践的技術者の養成を目的に設立され、来年の4月には創立50周年を迎えます。50周年という大きな節目に、新居浜高専のこれまでを振り返り、今後の発展する方向を考えることは大変重要です。皆さんが入学された今年は、まさにその記念すべき年に当たります。いろいろと記念行事が考えられていますので、ぜひ積極的に参加してください。

 

次に、高専の教育について述べます。高専の最大の特徴はなんと言っても、専門の早期教育と、5年間一貫の教育の2つです。

 

科学技術の発展には、様々な発想が必要とされます。そのためには様々な教育ルートが必要であると考えます。頭が柔軟な中学を卒業したばかりの時から専門教育を行う高専の早期教育は、大学における専門教育とは異なる教育ルートです。そう言う意味で高専生には、ユニークな発想をする技術者になることが期待されていると思います。

 

また、5年間一貫教育であるため、途中で受験がなく落ち着いて勉学ができます。5年間という比較的長い時を同級生と過ごすことや、実験・実習などのグループ学習が多いこと、あるいは寮生活があることで、一生の友達を作る機会に恵まれています。皆さんには、喜びや苦しみ・悲しみをともに分かち合える、人生の友をつくってほしいと願っています。

 

次に、学園生活についてです。高専では新入生から学生として一人の大人として扱われ、自由な行動が許されています。ただ、自由には必ず 責任が伴い、自由を享受するためには責任ある行動が基本であることを忘れないでいただきたいと思います。ルール、マナーを尊重し、いつも礼儀正しい行動をすることが大人への第一歩です。

 

また、自分から学び自分から習う、自学自習の精神を心がけてください。学校は学ぶ意思のあるものの集う場所であります。受験という制約がない特徴を生かして、クラブ活動や各種行事にも自ら積極的に参加し、おおいに楽しむ中で、人間の幅を広げて下さい。本学の教職員はそのような学生を全力で支援していくつもりです。

 

次に、遠く祖国を離れ、マレーシア及びモンゴルから来られた3名の留学生の皆さん。

 

早く新居浜の生活になじみ、日本人の学生や地域の人々と交流を深めるとともに、祖国の発展に貢献できる技術者に成長されることを期待しています。

 

また、専攻科の30名の皆さんには、技術者としての創造力と実践力を一層磨き上げ、国際的に通用するエンジニアを目指してほしいと思います。皆さんは、本校の誇りともいえる学生です。これからも自己研鑽に励み、本科の学生の模範となられることを期待しております。

 

最後になりましたが、保護者の皆様にお願いを申しあげます。

 

本日はご子息のご入学、誠におめでとうございます。夢は大きければ大きいほど、時として試練に出会うことがあるものです。そういう時は、どうかお子さんを温かく見守り、励ましていただきたいと思います。本校と致しましても教職員を挙げて、お子様の教育に全力を尽くす所存でございます。 ただ、教育は学校だけでは十分な効果を挙げることはできません。ご家庭の皆様のご協力が必要です。皆様方の学校運営へのご支援、ご協力をお願いいたします。

 

結びにあたり、新入生の皆さんのこれからの学生生活が、本当に充実したものとなりますよう心から祈念して、式辞と致します。

 

平成23年4月7日
新居浜工業高等専門学校長
鈴 木 幸 一