校長挨拶
校長メッセージ
「技術で羽ばたけ 世界へ未来へ ~新居浜高専~」
新居浜高専は、1962年に国立高等専門学校の第1期校として、別子銅山の歴史文化を受け継ぐ工都新居浜の地に創設され、2022年に60周年を迎え、本年4月1日時点で卒業生・専攻科修了生の合計は、10,024名に達しております。愛媛県はもとより日本全国、世界各地でわが国の発展を持続的に支えて活躍され、社会から高い評価を得てきました。
さて、改めて、冒頭の「技術ではばたけ」の『技術』とは何をさすものでしょうか?技術ということばは、長い歴史をかけて作られたものであり、例えば、科学の成果を人々の生活に役立てる方法との定義や、人類は技術の進歩により発展してきた、という説明にも充てられています。このように奥深い『技術』にかかる問いを在学中にじっくりと存分に追及してもらいたいと願っています。
新居浜高専の5年間からなる本科は現在、機械工学科・電気情報工学科・電子制御工学科・生物応用化学科・環境材料工学科のそれぞれ入学定員40名の5つの専門学科のほか、共通の教育を担当する数理科と一般教養科から構成されています。
1992年には、これら本科の上に修学期間2年の生産工学専攻(2004年度に生産工学専攻及び生物応用化学専攻に改組)及び電子工学専攻の専攻科が設置され、教育の高度化を推進してきました。卒業後の進路につきましては、20倍を超える求人を頂き、就職率はほぼ100%であります。また5年間の本科卒業後に、4年制大学の3年次に編入する学生や、更に慣れ親しんだ本校専攻科へ進む学生も含めると約1/3が進学をしております。
この15歳からの5年間あるいは専攻科を含めた7年間の一貫した専門教育を行う高等教育機関は、海外でも高い評価を得ており、そのユニークで独創的な高専教育モデルを導入する国々が現れてきております。海外では「KOSEN」という言葉で認識され、高専機構の先導のもと、新居浜高専では、教員を現地に派遣して当該国教員への指導・研修や学生への教育を行っています。
多くの産業活動、研究活動が世界規模で展開されてきたことから、新たな技術の発展、研究の展開なしでは、地球規模で人間社会の未来を描くことが困難となってきています。このような社会からの要請に対して、技術や研究に関わる人材としてグローバルな感覚を持った技術者や研究者が求められているのです。資源の枯渇に対し、サーキュラーエコノミーというあらゆる段階で資源の効率的・循環的利用を図る動き、感染症の世界的大流行への対応など、地域で起きた課題が地球的規模の問題として波及することにどう対処すべきかに知恵を絞り、技術を考案し、社会実装を通じて解決する取り組みが求められています。
このような課題は誰かが解決してくれることを待っていてはいけません。自分の課題として取り組む気持ちが大事なのです。世界では、人類が持続的に地球で暮らし続けることために、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」を策定し、推進しています。また国内では、Society 5.0ということばに代表されるGX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、SX(サステイナビリティトランスフォーメーション)といった新たな考え方や技術も利用して、社会の要請に柔軟に変化し対応しようとしています。そのために、新居浜高専では「創造性のある実践的技術者の育成」をめざし、そのための実験や実習を重視した教育プログラム、早期教育の利点を活かしたものづくり実践教育の実施、問題解決型グループ学習(PBL)の積極的な導入など、常に時代の先端を行く教育を実施しています。
本校は「技術で羽ばたけ 世界へ未来へ ~新居浜高専~」をキャッチコピーとし、実践的で創造的な技術者の育成に向かって、地域とともに歩む信頼される高等教育機関をめざしています。今後も本校の発展により一層ご支援くださいますようお願い申しあげます。
新居浜高専 校長 東海明宏