平成29年度 シラバス
授業科目
機器分析
担当教員
桑田 茂樹
開講期
通年
科目番号
140407
対象学年・学科・コース
4年 生物応用化学科
単位区分
選択必修
学修単位
単位数
2単位
授業概要・授業方針
各種機器分析法について、その理論と原理、分析方法を解説する。特に、理論、原理の理解に重点を置く。機器分析実験と並行して講義を進めることにより、理解度の向上を計る。
到達目標
  1. 波としての光の性質を理解できること。
  2. 吸光分析(Lambert-Beerの法則の誘導)、発光分析の原理を理解できること。
  3. 水溶液の電気的性質を理解し、当量導電率の概念を理解できること。
  4. 化学電池の電位発生のメカニズムを理解し、理論的な電位の計算ができること。
  5. カラム分離の原理を理解できること。
  6. 分離分析の代表例であるガスクロマトグラフ装置の原理と分析法を理解できること。
  7. X線の性質を理解し、回折分析(Braggの式)の原理を理解できること。
  8. 熱分析(TG, DTA, DSC)の原理を理解し、分析結果から分解過程を考察できること。
教科書
入門機器分析化学  庄野利之、脇田久伸 編著  (三共出版)
配布プリント
参考書
プリント
授業要目 到達目標
との対応
自己点検
前期
1 光の性質(波、粒子)とエネルギー、波長の関係
2 吸光分析の原理(ランベルト−ベールの法則)
3 吸光光度計の装置の概要
4 原子吸光分析の原理
5 原子吸光分析装置の概要
6 発光分析の原理
7 その他の光分析法(蛍光、赤外、ラマンスペクトル)
8 中間試験
9 テスト返却と解説
水溶液の電気的特性
10 当量電導度の定義
11 導電率滴定の原理
12 電解分析法の概要
13 電極電位
14 電位差滴定の原理、ポーラログラフィー、サイクリックボルタンメトリ
15 試験範囲の内容の再解説と演習
16 期末試験
17 テスト返却と解説
後期 自己点検
1 クロマトグラフィー:分類と基礎
2 クロマトグラフィー:定性分析と定量分析
3 クロマトグラフィー:カラム分離の理論
4 クロマトグラフィー:ガスクロマトグラフィーの原理(分配クロマトグラフィーを主に)
5 クロマトグラフィー:ガスクロマトグラフ装置の構造と分析法(ピーク面積、半値幅等)
6 クロマトグラフィー:高速液体クロマトグラフィー
7 その他のクロマトグラフィー:吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー
8 中間試験
9 テスト返却と解説
X線分析法:X線の性質、装置の概要
10 X線分析法:X線回折分析、結晶構造
11 X線分析法:蛍光X線分析法
12 NMR、ESR、微少領域分析法:走査型電子顕微鏡(SEM)、電子線マイクロアナライザー(EPMA)の分析原理
13 熱分析法:熱重量測定(TG)、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)
14 熱分析結果の解析
15 試験範囲の内容の再解説と演習
16 期末試験
17 テスト返却と解説
到達達成度の指標(ルーブリック)
到達
目標
理想的なレベル(A)の目安 標準的なレベル(B)の目安 未到達なレベル(C)の目安 自己評価
1 電磁波全体の波長領域を理解し、各電磁波の特徴が説明できる。 可視光線の波長領域と性質(分光や透過等)について説明できる。 可視光線の波長領域と性質(分光や透過等について説明できない。 A・B・C
2 吸光・発光の原理が説明でき、透過度・吸光度からLambert-Beerの法則の式が誘導できる。また、Lambert-Beerの法則の式を用いた計算もできる。 Lambert-Beerの法則の式を用いた計算ができる。また、発光分析の原理も説明できる。 Lambert-Beerの法則の式を用いた計算ができない。また、発光分析の原理も説明できない。 A・B・C
3 水溶液の電気的性質を理解し、当量導電率の概念を理解できる。導電率滴定の滴定曲線の概略図の推測もできる。 水溶液の電気的性質を理解し、当量導電率の概念を理解できる。 水溶液の電気的性質を理解し、当量導電率の概念を理解できない。 A・B・C
4 化学電池の電位発生のメカニズムを理解し、Nernst式を用いた理論的な電位の計算ができる。また、各種電池の起電力の計算もできる。 化学電池の電位発生のメカニズムを理解し、Nernst式を用いた理論的な電位の計算ができる。 化学電池の電位発生のメカニズムを理解し、Nernst式を用いた理論的な電位の計算ができない。 A・B・C
5 バッチ法の原理を理解し、カラム分離の原理(移動速度、カラムの必要長さ等)が説明できる。分配係数(K)、容量比(k')、保持時間(tR)、理論段数(N)、理論段高さ(H)、分離度(Rs)等の関係式の説明もできる。 バッチ法の原理を理解し、カラム分離の原理(移動速度、カラムの必要長さ等)が説明できる。 バッチ法の原理を理解し、カラム分離の原理(移動速度、カラムの必要長さ等)が説明できない。 A・B・C
6 分離分析の代表例であるガスクロマトグラフ装置の原理と分析法を理解できる。実際の定性分析(保持時間、保持容量の違い)や定量法(半値幅法、切り抜き法等)の説明もできる。 分離分析の代表例であるガスクロマトグラフ装置の原理と分析法を説明できる。 分離分析の代表例であるガスクロマトグラフ装置の原理と分析法を説明できない。 A・B・C
7 X線の性質を理解し、回折分析(Braggの式)の原理を説明できる。また、蛍光X線分析やX線吸収分析等の原理も説明できる。 X線の性質を理解し、回折分析(Braggの式)の原理を説明できる。 X線の性質を理解し、回折分析(Braggの式)の原理を説明できない。 A・B・C
8 熱分析(TG, DTA, DSC)の原理が説明でき、分析結果から分解過程を考察できること。また、物質の熱分解過程の推測もできる。 熱分析(TG, DTA, DSC)の原理を理解し、分析結果から分解過程を考察できる。 熱分析(TG, DTA, DSC)の原理を理解し、分析結果から分解過程を考察できない。 A・B・C
到達度評価
この科目は学修単位科目であるので、(90時間−講義時間)以上の自学自習を必要とする。したがって、科目担当教員が課した課題の内、{(90時間−講義時間)×3/4} 時間以上に相当する課題提出がないと単位を認めない。(各課題ごとの時間は担当教員が設定する。)
基本的に4回の定期試験(80%)と課題提出物や小テスト(20%)で評価する。
履修上の注意
機器分析化学は現代の科学産業を支えている非常に大切な学問である。特に化学関連の企業等に就職した場合には最も身近で、装置を触れる機会も多い。機器の原理を物理・数学・化学の基礎知識に基づいて理解することが大切である。
事前学習・自己学習・関連科目
3年生までの化学の知識は必要である(特に、3年の分析化学の理論と計算が重要)。さらに、機器の原理を理解するためには、物理や数学の基礎知識が重要である。
4年の生物応用化学実験3とタイアップして理解していくことが大切である。
学習・教育目標
(生産工学・機械工学コース)
(生産工学・環境材料工学コース)
(生物応用化学) B-2、B-4
(電子工学)