平成29年度 シラバス
授業科目
理論有機化学
担当教員
中川 克彦
開講期
前期
科目番号
630106
対象学年・学科・コース
1年 生物応用化学専攻
単位区分
選択必修
単位数
2単位
授業概要・授業方針
理論有機化学では、有機電子論、化学結合論、熱力学、反応速度論、立体化学などを活用し、有機分子の構造、反応性を考えながら、有機反応機構を推定する方法を学ぶ。有機分子の結合の形、電子密度、結合の強さなどを計算化学ソフトにより求め、比較検討する演習を行う。
到達目標
  1. 有機電子理論(誘起効果、共鳴効果、超共役)の概念を用いて有機反応の概要を説明できる
  2. 熱力学・速度論の概念を用いて有機反応の概要を説明できる
  3. 求核置換反応および脱離反応の反応機構の概要について説明できる
  4. グリーンケミストリーの概念を用いて、求核置換反応と脱離反応の概要を説明できる
  5. FE(Fundamental of Engineering)試験に出題される有機化学の基礎問題の内容を説明できる
  6. 計算化学ソフトを活用して単純な有機分子の構造の概要を説明できる
教科書
有機反応論  加納航治著  (三共出版)および配布プリント
参考書
有機反応機構  右田俊彦、永井洋一郎 共著  (裳華房)
その他化学結合、分子軌道、有機電子理論、物理化学などに関する参考書は図書館に多数ある。
授業要目 到達目標
との対応
自己点検
1 有機化学の反応機構の考える方法について 1-2
2 化学結合論(1):軌道および混成軌道の概念について、分子の結合の形、電子密度を計算化学ソフトにより求めよう 1,6
3 化学結合論(2):電気陰性度と分極および双極子モーメントについて、分子の結合の電子密度、結合の強さなどを計算化学ソフトにより求めよう 1,6
4 化学結合論(3):分子間力の概念について、分子間の結合の強さを計算化学ソフトにより求め、プレゼン発表を行う 1,6
5 有機電子理論:共鳴理論について、分子の結合の強さを計算化学ソフトにより求め、比較しよう 1,6
6 有機電子理論:誘起効果について、分子の結合、構造に及ぼす影響を計算化学ソフトにより求め、比較しよう 1,6
7 有機電子理論:超共役について、共鳴理論、誘起効果をもちいて考えてみよう 1,6
8 酸と塩基の定義:化学結合、有機電子理論を用いて、考えてみよう 1,5-6
9 酸解離に対する溶媒効果および立体効果について考えてみよう(グリーンケミストリーへの活用、特許検索結果などについて討論する) 1,5-6
10 酸解離平衡と熱力学:エンタルピーとエントロピーの変化について考えてみよう 1-2,5-6
11 有機化学反応と速度論:遷移状態説とエネルギー相関図について考えてみよう(グリーンケミストリー:有機プロセスと反応制御による省エネ対策について、特許調査結果と対比しながら討論する) 1-2,5-6
12 求核置換反応の反応機構(1):速度論と立体化学の考え方を用いて、環境にやさしい脱離基の選択について考えてみよう 1-6
13 求核置換反応の反応機構(2):溶媒効果と隣接基効果の考え方を用いて、環境にやさしい溶媒と反応条件の検討と特許検索結果との対比しながら討論する 1-6
14 脱離反応の反応機構(1):速度論と立体化学の考え方を用いて、脱離分子の環境への影響について考えてみよう 1-6
15 脱離反応の反応機構:溶媒効果と隣接基効果の考え方を用いて、脱離分子の環境への影響について考えてみよう 1-6
16 期末試験 1-6
17 試験返却、まとめ 1-6
到達達成度の指標(ルーブリック)
到達
目標
理想的なレベル(A)の目安 標準的なレベル(B)の目安 未到達なレベル(C)の目安 自己評価
1 有機電子理論(誘起効果、共鳴効果、超共役)の概念を用いて有機反応の概要を理解し、正確に説明できる 有機電子理論(誘起効果、共鳴効果、超共役)の概念を用いて有機反応の概要を説明できる 有機電子理論(誘起効果、共鳴効果、超共役)の概念を用いて有機反応の概要を説明できない A・B・C
2 熱力学・速度論の概念を用いて有機反応の概要を正確に説明できる 熱力学・速度論の概念を用いて有機反応の概要を説明できる 熱力学・速度論の概念を用いて有機反応の概要を説明できない A・B・C
3 求核置換反応および脱離反応の反応機構の概要を理解し、正確に説明できる 求核置換反応および脱離反応の反応機構の概要を説明できる 求核置換反応および脱離反応の反応機構の概要を説明できない A・B・C
4 グリーンケミストリーの概念を用いて、求核置換反応と脱離反応の概要を理解し、正確に説明できる グリーンケミストリーの概念を用いて、求核置換反応と脱離反応の概要を説明できる グリーンケミストリーの概念を用いて、求核置換反応と脱離反応の概要を説明できない A・B・C
5 FE(Fundamental of Engineering)試験に出題される有機化学の基礎問題の内容を理解し、正確に説明できる FE(Fundamental of Engineering)試験に出題される有機化学の基礎問題の内容を説明できる FE(Fundamental of Engineering)試験に出題される有機化学の基礎問題の内容を説明できない A・B・C
6 計算化学ソフトを活用して単純な有機分子の構造の概要を理解し、正確に説明できる 計算化学ソフトを活用して単純な有機分子の構造の概要を説明できる 計算化学ソフトを活用して単純な有機分子の構造の概要を説明できない A・B・C
到達度評価
期末試験(70%)、講義中の英訳・和訳や化学クイズの応答(20%)、課題提出物(10%)を含めて評価する。
履修上の注意
授業は、教科書・プリント及び演習問題を中心としたゼミ方式の講義を進め、学生は随時、授業中の課題および講義内容のまとめについて個別およびグループ討論などによる発表を行う。有機系専門用語の英語力を身に付けるため、専門雑誌からのニュースやアメリカ合衆国の技術者試験である FE(Fundamental of Engineering)試験に出題される有機化学の問題を講義中に演習するので、英語の辞書および本科の合成化学の教科書は必ず持参すること
事前学習・自己学習・関連科目
授業中に配布するプリントを予習し、紹介図書などを熟読しながら計算化学ソフトを活用し、有機化合物の立体構造、反応性などについて考えよう! 本科目は、有機合成化学、高分子化学概論、環境化学特論および特許化学概論とも関連する。
学習・教育目標
(生産工学・機械工学コース)
(生産工学・環境材料工学コース)
(生物応用化学) A-1、B-4、C-1
(電子工学)