平成28年度 シラバス
授業科目
細胞工学特論 
担当教員
牛尾 一利
開講期
後期
科目番号
630107
対象学年・学科・コース
1,2年 生物応用化学専攻
単位区分
選択必修
単位数
2単位
授業概要・授業方針
現代の細胞研究の分子生物学的発展を理解するための基礎的素養を身につけることを目標とする。そのため、まず前半は植物細胞の培養法、遺伝子操作による育種法を中心に植物細胞工学の学習を行い、後半は動物細胞における細胞間・細胞内シグナル伝達と細胞分化・脱分化や細胞分裂周期制御に焦点を当て、最近の細胞工学の進歩について学ぶ。
到達目標
  1. 植物細胞の培養法について説明できること
  2. 植物細胞培養による物質生産について説明できること
  3. 植物細胞へ遺伝子導入による形質転換について説明できること
  4. 遺伝子組み換え植物について説明できること
  5. 植物の耐寒性機構について説明できること
  6. 動物細胞の培養法と物質生産応用について説明できること
  7. 動物細胞を中心に細胞分裂等における情報伝達の仕組みに関して基礎的な説明ができること
  8. 情報伝達の「狂い」の例としてガン細胞について、発ガン機構について説明できること
教科書
細胞工学の基礎 永井和夫・富田房男・長田敏行 (東京化学同人)
参考書
植物細胞工学入門  駒嶺
細胞工学概論
分子細胞生物学  カープ 著  (東京化学同人)
バイオ研究イラストマップ  佐々木博巳 編  (羊土社)
細胞工学  
授業要目 到達目標
との対応
自己点検
1 植物細胞培養法、植物ホルモンと細胞分化、クローン植物 1
2 植物細胞培養を用いた有用物質の生産1 2
3 植物細胞培養を用いた有用物質の生産2 2
4 植物への遺伝子導入:アグロバクテリウムなど 3
5 遺伝子組み換えのいろいろ 3
6 BT農薬遺伝子と植物への導入 4
7 除草剤耐性遺伝子と植物への導入 4
8 植物の耐寒性機構 5
9 植物低温訓化の分子機構、植物育種の今後への期待   5
10 動物細胞の培養、細胞増殖と細胞増殖因子 6
11 動物細胞融合の応用:モノクローナル抗体の生産 6
12 細胞接着と増殖制御 7
13 細胞増殖因子と受容体、チロシンキナーゼ型受容体、MAPキナーゼ、がん原遺伝子とガン遺伝子 7,8
14 ガンと細胞分裂;サイクリンとCDK、がん抑制遺伝子(Rb、p53)とアポトーシス 8
15 幹細胞とクローン動物 6
16 期末試験
17 答案返却
到達達成度の指標(ルーブリック)
到達
目標
理想的なレベル(A)の目安 標準的なレベル(B)の目安 未到達なレベル(C)の目安 自己評価
1 植物細胞の培養法について、植物ホルモンの働きについても解説しながら詳細に説明できる 植物細胞の培養法について説明できる 植物細胞の培養法について説明できない A・B・C
2 植物細胞培養による物質生産について複数の例を挙げて説明できる 植物細胞培養による物質生産について例を挙げて説明できる 植物細胞培養による物質生産について例を挙げて説明できない A・B・C
3 植物細胞へ遺伝子導入による形質転換について複数の方法について説明できる 植物細胞へ遺伝子導入による形質転換について説明できる 植物細胞へ遺伝子導入による形質転換について説明できない A・B・C
4 遺伝子組み換え植物について複数の具体例を挙げ説明できる 遺伝子組み換え植物について説明できる 遺伝子組み換え植物について説明できない A・B・C
5 植物の耐寒性機構について具体的な化学物質も挙げながら論理的な説明できる 植物の耐寒性機構について説明できる 植物の耐寒性機構について説明できない A・B・C
6 動物細胞の培養法と物質生産応用について具体例につき方法の論理も含めて説明できる 動物細胞の培養法と物質生産応用について説明できる 動物細胞の培養法と物質生産応用について説明できない A・B・C
7 動物細胞を中心に細胞分裂等における情報伝達の仕組みに関して複数の現象について説明ができる 動物細胞を中心に細胞分裂等における情報伝達の仕組みに関して基礎的な説明ができる 動物細胞を中心に細胞分裂等における情報伝達の仕組みに関して説明ができない A・B・C
8 情報伝達の「狂い」の例としてガン細胞について、複数の具体例を挙げながら発ガン機構について説明できる 情報伝達の「狂い」の例としてガン細胞について、発ガン機構について説明できる 情報伝達の「狂い」の例としてガン細胞について、発ガン機構について説明できない A・B・C
到達度評価
期末テストの成績(100%)で評価する。
履修上の注意
現代はヒトが生物の遺伝子を操作する時代である。つまり遺伝子は否が応でも完全に工学的対象の時代となった。現代の技術者はこの問題に無関心ではいられない。まず、植物の遺伝子工学的育種については現在いろいろ議論のあるところであるが、この問題を中心に現在および将来の植物バイオというものを考えてみよう。また、生物工学の主たる目標の一つは人類を苦しめる難病の克服を含めた生活の質向上である。本講義後半では特に、最近発展の著しいガンの正体とその治療法考察およびクローン動物・再生医療工学に主眼を置き、その基礎となる細胞の分子生物学を共に考えてみたい。
事前学習・自己学習・関連科目
事前学習及び関連科目としては、生物化学1および生物化学2&3、生体触媒工学、分子生物学1&2,細胞遺伝子工学あるいは生物化学概論の修得が望ましい。
学習・教育目標
(生産工学・機械工学コース)
(生産工学・環境材料工学コース)
(生物応用化学) B-4
(電子工学)