倫理シラバス

授業科目倫理	担当教員濱井		開講期通年
科目番号 101210	対象学年・学科・コース 1年生年全学科	単位区分必修	単位数 2単位

授業概要・授業方針

ソクラテスは「単に生きるのではなく，善く生きること」が大切だと言いましたが，果たして「善い」とはどういう意味で，皆さんはこれからどのように生きるべきなのでしょうか。この問いを考察するために，この授業では倫理思想史を紐解き，古代ギリシャから現代の国際社会に至るまでの人々が何を「善い」と考え，社会を形成してきたのかを学びます。

到達目標

哲学・倫理の意義を，自然科学との差異において理解する。
ギリシャ哲学における人間精神の位置づけを理解する。
世界各地の宗教・思想に親しみ，その歴史と意義を理解する。
西洋近世の個人観とそれに基づく社会論の展開を理解する。
社会主義やファシズム等の20世紀を席巻した思想とその問題点を理解する。
実存主義への理解を通して自己の生きる意味を考察する。

教科書: 『高等学校倫理』越智貢他（第一学習社），配布プリント
参考書: 『テオーリア最新倫理資料集』（第一学習社）

授業要目	到達目標との対応	自己点検
前期

1	導入：「倫理」とは何か？	1
2	青年期の課題と自己形成Ⅰ	1
3	青年期の課題と自己形成Ⅱ	1
4	ギリシャの思想：哲学の形成	2
5	ギリシャの思想：ソクラテス	2
6	ギリシャの思想：プラトン	2
7	ギリシャの思想：アリストテレス	2
8	中間試験	1~2
9	ユダヤ教の世界観と歴史	3
10	キリスト教：イエスの思想とその展開	3
11	イスラム教の教え	3
12	ヒンドゥー教とインド社会	3
13	仏教の基礎とその展開	3
14	中国思想：孔子と諸子百家	3
15	期末試験	3

後期

自己点検

1	ルネッサンスと近代科学	1, 4
2	デカルトの思想：「私」の発見	4
3	大陸合理論とイギリス経験論	4
4	カント認識論	4
5	功利主義と厳格主義	4
6	自由と民主主義の成り立ち	4
7	ヘーゲルの思想と残した課題	4
8	中間試験	1, 4
9	マルクスの思想：労働と疎外	5
10	革命と社会主義国	5
11	日本の社会主義運動	5
12	ファシズムの独裁者	5
13	実存主義の苦悩：ニーチェの虚無	6
14	実存主義の苦悩：実存とペルソナ	6
15	期末試験	5~6

到達達成度の指標（ルーブリック）

到達目標	理想的なレベル（Ａ）の目安	標準的なレベル（Ｂ）の目安	未到達なレベル（Ｃ）の目安	自己評価
1	哲学・倫理学と自然科学との差異を理解し，人間の生におけるその意義を論述できる。	哲学・倫理学における思考法と，科学的な思考法の特徴と差異を記述できる。	哲学・倫理の思考法の特徴と意義を理解できず，学ぶ必要のない科目だと考えている。	Ａ・Ｂ・Ｃ
2	ギリシャ哲学を基に，現代でも断定できない諸問題について，自身の見解を論述できる。	善やイデア等，ギリシャ哲学の抽象的な世界観についてその特徴を記述できる。	ギリシャ哲学の世界観に対して，科学が未発達な時代の間違った考えだと捉えている。	Ａ・Ｂ・Ｃ
3	各宗教の歴史・思想に触れ，現代におけるその役割について自身の見解を論述できる。	世界の宗教の特徴やキーワードをある程度覚えており，記述することができる。	宗教を単に誤った考え方として捉え，現代社会においては不要なものと考えている。	Ａ・Ｂ・Ｃ
4	個人主義，民主主義，資本主義の成立過程や，その現代における問題を考察できる。	個人，人民主権，自己利益追求等の近現代を形成する概念の成立について記述できる。	個人主義的，民主主義的，資本主義的価値観を当たり前に正しいものと捉えている。	Ａ・Ｂ・Ｃ
5	社会主義，ファシズムの歴史を理解し，現代まで継続する問題として考察できる。	社会主義，ファシズムが誕生する土壌及びその目的について記述することができる。	社会主義やファシズムが何を目指したのかを理解せず，単なる支配構造と見ている。	Ａ・Ｂ・Ｃ
6	実存主義の思想の社会性と反社会性を理解し，自身の生きる意味を考察できる。	実存主義の考え方の特徴を理解し，自身の生活の中で実例を挙げることができる。	実存主義の考え方を，自身の人生に関連させてイメージすることができない。	Ａ・Ｂ・Ｃ

到達度評価

定期試験70%、レポート30%で評価する

履修上の注意

人間は古来より，様々なものに価値を見出し，そのために生きてきました。そして皆さんはこれから，何のために生きるのでしょうか。この問いの答えは人それぞれですが，しかしこの問いを避けて通ることはできません。この授業を通して「善い社会」，「善い人生」を共に探求しましょう。

事前学習・自己学習・関連科目

現代社会や国際情勢等の時事ニュースについて，新聞やテレビ等で情報を集めるよう心がけましょう。その上で，多数の事件や事故の背景には，人々のどのようなものの考え方があったのか考えてみましょう。