平成29年度 シラバス
授業科目
生物応用化学実験1
担当教員
中山 享・橋本 千尋・兵田 俊治
開講期
通年
科目番号
140308
対象学年・学科・コース
3年 生物応用化学科
単位区分
必修
単位数
4単位
授業概要・授業方針
無機化学における基礎的な実験から、実験に関する技術を習得するとともに、無機化学に関する知識を身に付けることを目標とする。また、器具および装置の取扱い方、レポートの書き方、安全などについても学び、実験に対する考え方を体得する。後期後半には、1グループ4名で取組む競技形式のグループ科学実験を行い、企画立案能力、問題解決能力を養う。
到達目標
  1. 配位化合物を含む無機化合物の合成ができること。
  2. 無機化合物中の成分分析および海水中の成分分析ができること。
  3. 銅電解実験を通じて、Faradayの法則を理解できること。
  4. ゼオライト、シリカゲル、着色ガラスおよび蛍光体の合成、光触媒による色素の脱色試験を通じて、その現象を理解できること。
  5. 実験方法、実験結果、考察をレポートにまとめ、説明できること。
  6. グループ科学実験では、独自のアイデアを提案し、限定された条件下でそのアイデアを実現したものづくりができること。
教科書
生物応用化学実験1テキスト  新居浜高専・生物応用化学科 編集
グループ科学実験の手引き  新居浜高専・生物応用化学科 編集
実験を安全に行うために  化学同人編集部 編  (化学同人)
続実験を安全に行うために  化学同人編集部 編  (化学同人)
参考書
ニューテック化学シリーズ 無機化学  内田 希 他著  (朝倉書店)
授業要目
 第1週 ガイダンス、班分け
第2週〜第26週
1 光学材料、光反応/着色ガラスと蛍光体を合成し、その着色や蛍光を観察する。光触媒(酸化チタン)に
  よる色素の脱色を観察する。
 2 金属錯体の合成1(銅(II)錯体)/テトラクロロ銅(II)酸ビス(ジエチルアンモニウム)、cis型とtrans型の
  ジグリシナト銅(II)水和物の合成、銅錯体の平衡の観察を行う。
3 海水の分析、イオン交換樹脂、イオンクロマトグラフィー/海水中のCa2+、Mg2+、Cl-の定量分析、
  陽イオン交換樹脂を用いた海水からの陽イオン除去実験、イオンクロマトグラフィーを用いた海水中の
  陰イオン分析を行う。
4 複塩(ミョウバン)の合成、Faradayの法則/硫酸銅(II)アンモニウム、硫酸カリウムアルミニウム、
  硫酸カリウムクロム(III)を合成する。硫酸銅電解液の電解実験を行う。
5 硫酸マグネシウム/硫酸マグネシウム7水和物の合成、Mg、SO4、H2Oの定量分析を行う。
6 金属錯体の合成2(多核金属錯体)、シリカゲル/七モリブデン酸六ナトリウムを合成し、
  H2Oの定量分析を行う。ドデカモリブデン酸アンモニウム塩を合成し、その酸化還元挙動を観察する。
  シリカゲルを合成し、その吸湿特性を観察する。
7 金属錯体の合成3(鉄(III)錯体)、結晶の成長/トリオキザラート鉄錯体を合成、Fe、C2O4の
  定量分析を行う。さらに、4種類の無機塩の結晶成長を顕微鏡下で観察する。
8 炭酸ナトリウムの合成、化学電池/炭酸水素ナトリウムを合成、その加熱分解で炭酸ナトリウムを得る。
  ボルタ電池とダニエル電池を組み立て、その発電特性を観察する。
9 金属錯体の合成4(コバルト(III)錯体)/3種類のコバルト錯体を合成、精製、Cl-の定量分析を行う。
10 ゼオライト、溶解度測定/ゼオライトを合成し、その金属イオン吸着や気体成分吸着を観察する。
  C2O4の定量分析によるH2C2O4やMgC2O4の純水に対する室温での溶解度測定を行う。
第27〜第30週 <グループ科学実験>
 第1回 準備(購入パーツおよび工具の配布・確認)
 第2〜5回 組立ておよび実験
 第6回 発表準備(作動確認)
 第7回 発表会(競技)
到達達成度の指標(ルーブリック)
到達
目標
理想的なレベル(A)の目安 標準的なレベル(B)の目安 未到達なレベル(C)の目安 自己評価
1 配位化合物を含む無機化合物の合成ができ、各操作の意味を説明できる。 配位化合物を含む無機化合物の合成ができる。 配位化合物を含む無機化合物の合成ができない。 A・B・C
2 無機化合物中の成分分析および海水中の成分分析ができ、各操作の意味を説明できる。 無機化合物中の成分分析および海水中の成分分析ができる。 無機化合物中の成分分析および海水中の成分分析ができる。 A・B・C
3 銅電解実験を通じて、Faradayの法則を理解でき、その内容が説明できる。 銅電解実験を通じて、Faradayの法則を理解できる。 銅電解実験を通じて、Faradayの法則を理解できない。 A・B・C
4 ゼオライト、シリカゲル、着色ガラスおよび蛍光体の合成、光触媒による色素の脱色試験を通じて、その現象を理解でき、その内容が説明できる。 ゼオライト、シリカゲル、着色ガラスおよび蛍光体の合成、光触媒による色素の脱色試験を通じて、その現象を理解できる。 ゼオライト、シリカゲル、着色ガラスおよび蛍光体の合成、光触媒による色素の脱色試験において各現象を理解できない。 A・B・C
5 実験方法、実験結果、考察をレポート形式に整えて期限までに提出できる。実験結果を自分の言葉で説明できる。 実験方法、実験結果、考察をレポート形式に整えて、期限までに提出できる。実験結果を教員とのやり取りを通して説明できる。 実験結果を教員とのやり取りを通しても説明できない。実験結果を教員とのやり取りを通しても説明できない。 A・B・C
6 グループ科学実験で独自のアイデアを提案し、条件に適合した優れた作品をつくることができる。 グループ科学実験で独自のアイデアを提案し、条件に適合した作品をつくることができる。 グループ科学実験で独自のアイデアを提案できず、作品をつくることができない。 A・B・C
到達度評価
第2週〜第26週の実験【80%】(レポートを50%、小テストを20%、受講態度を10%とする。但し、各レポートを期日までに提出しない場合は単位を与えない。)グループ科学実験【20%】(レポートを10%、発表会を10%とする。)
履修上の注意
基本的な無機物質合成・分析テーマの他に、最近話題のテーマを取り入れている。テーマ担当者が、提出レポートの記述内容に対して口頭試問を行う。第2学年までと異なり、強酸や強アルカリなどすべての試薬・薬品の調整操作を学生自身に行ってもらうため、より一層安全に注意してもらいたい。安全メガネと白衣は実験室内では常時着用してもらい、守れない場合は実験を受講させない。
事前学習・自己学習・関連科目
第1、2学年の定性・定量分析実験の内容を一部含むので、よく復習をしておくこと。説明ができるようにレポート作成時からよく勉強し注意しておくこと。グループ科学実験では与えられた課題に挑戦するために、各自のアイデアを基にグループごとに実現可能な計画を立案し、試行錯誤しながら最も優れた作品を作って下さい。