平成29年度 シラバス
授業科目
分析化学
担当教員
桑田 茂樹
開講期
通年
科目番号
140306
対象学年・学科・コース
3年 生物応用化学科
単位区分
選択必修
単位数
2単位
授業概要・授業方針
化学の基礎である モル、当量、濃度 を熟知した上で、化学平衡とは何かを理解する。均一系平衡では、酸・塩基と酸化・還元を例として、また、不均一系平衡では 固-液平衡を取り上げる。2年生で受講した分析化学実験の内容を多く取り入れた講義を行うことにより、定量分析の理論を理解することを目的とする。
到達目標
  1. モルや当量の概念が理解できること。
  2. モル濃度やモル分率などの濃度計算ができること。
  3. 均一系の平衡の概念を理解し、質量作用の法則を適用した展開ができること。
  4. 各種平衡定数(水のイオン積、解離定数、溶解度積など)を理解し、その定数を使った計算ができること。
  5. pHの概念を理解し、その計算ができること。
  6. 酸化還元平衡の概念を理解し、電気分解反応や電極反応への応用ができること。
  7. 各種滴定(中和、沈殿、酸化還元、キレート)を理解し、定量計算ができること。
教科書
基礎教育シリーズ「分析化学」<基礎編>  元水昌二 他 共著  (東京教学社) およびプリント
参考書
高専の化学  小森三郎 監修  (森北出版)
基礎からわかる分析化学 加藤正直 他 共著 (森北出版)
その他、高校の化学参考書各種
授業要目 到達目標
との対応
自己点検
前期
1 気体の性質(ボイル・シャルルの法則、気体の状態方程式)
2 原子価、モル、当量
3 濃度の表示法(モル濃度、質量モル濃度、モル分率)
4 酸、塩基、塩
5 水溶液と化学平衡(均一系平衡の概念)
6 質量作用の法則
7 水のイオン積 
8 中間試験
9 テスト返却と解説
酸、塩基の解離平衡(解離定数、解離度)
10 酸、塩基のpH
11 弱電解質の解離平衡(塩の加水分解)
12 中和反応
13 緩衝作用と緩衝溶液
14 中和滴定(強酸-強塩基)における滴定曲線
15 試験範囲の内容の再解説と演習
16 期末試験
17 テスト返却と解説
後期 自己点検
1 不均一系平衡の概念
2 溶解度と溶解度積
3 沈殿の生成(イオンの沈殿分離)
4 沈殿の溶解
5 酸化と還元の定義と酸化数
6 酸化還元平衡
7 酸化還元電位
8 中間試験
9 テスト返却と解説
酸化還元滴定における滴定曲線
10 Faradayの法則
11 電気分解
12 電池の種類と電極反応
13 酸化還元滴定
14 沈殿滴定・キレート滴定
15 試験範囲の内容の再解説と演習
16 期末試験
17 テスト返却と解説
到達達成度の指標(ルーブリック)
到達
目標
理想的なレベル(A)の目安 標準的なレベル(B)の目安 未到達なレベル(C)の目安 自己評価
1 原子量表から物質量(モル数)の計算ができる。元素の周期表の見方を理解し、物質の価数や元素の当量の関連性を理解し、その計算できる。 原子量表から物質量(モル数)の計算ができる。元素の周期表から元素の当量が計算できる。
原子量表から物質量(モル数)の計算ができない。元素の周期表から元素の当量が計算できない。 A・B・C
2 モル濃度やモル分率などの濃度計算ができる。密度(比重)を用いて質量%濃度とモル濃度の換算ができる。質量モル濃度の計算もできる。
モル濃度やモル分率などの濃度計算ができる。 モル濃度やモル分率などの濃度計算ができない。 A・B・C
3 解離定数(K)と電離度(α)と濃度(C)の関係式(Ostwaldの希釈律)が誘導でき、その計算ができる。 解離定数(K)と電離度(α)と濃度(C)の関係式を用いて、弱酸・弱塩基の濃度計算ができる。 解離定数(K)と電離度(α)と濃度(C)の関係式を用いて、弱酸・弱塩基の濃度計算ができない。 A・B・C
4 各種平衡定数(水のイオン積、解離定数、溶解度積など)を理解し、その定数を使った計算ができる。特に、難溶性塩の溶解度に及ぼすpHの影響の説明ができる。 各種平衡定数(水のイオン積、解離定数、溶解度積など)を理解し、その定数を使った計算ができる。 各種平衡定数(水のイオン積、解離定数、溶解度積など)を理解し、その定数を使った計算ができない。 A・B・C
5 1価の酸・塩基、また、その塩の水溶液のpHが計算できる。2価以上の酸・塩基・塩の水溶液のpHも計算できる。 1価の酸・塩基、また、その塩の水溶液のpHが計算できる。 1価の酸・塩基、また、その塩の水溶液のpHが計算できない。 A・B・C
6 酸化数の概念が説明でき、酸化還元滴定の計算ができる。電気分解における陽極・陰極の電極反応式が説明でき、直列・並列の電解槽においてFaradayの法則を用いた計算ができる。 酸化数の概念が説明でき、酸化還元滴定の計算ができる。電気分解においてFaradayの法則を用いた計算ができる。 酸化数の概念が説明できない。酸化還元滴定の計算もできない。また、電気分解においてFaradayの法則を用いた計算ができない。 A・B・C
7 各種滴定(中和、沈殿、酸化還元、キレート)を理解し、定量計算ができる。また、各滴定曲線の概形も説明でき、必要な指示薬の設定も説明できる。 各種滴定(中和、沈殿、酸化還元、キレート)を理解し、定量計算ができる。 各種滴定(中和、沈殿、酸化還元、キレート)を理解し、定量計算ができない。 A・B・C
到達度評価
定期試験80%、課題提出や小テスト20%として評価する。
履修上の注意
教科書の内容に入る前にプリントによる講義を4回行うが、その都度理解しておくこと。(このプリントを理解していないと教科書が読めない。)
事前学習・自己学習・関連科目
化学1,2の基礎知識(化学式、濃度計算、周期表の見方、など)をしっかりと身につけておくことが大切である。
この科目で得た知識は、4年の機器分析や実験の理解に役立つ。