平成29年度 シラバス
授業科目
有機化学2
担当教員
間淵 通昭
開講期
通年
科目番号
140304
対象学年・学科・コース
3年 生物応用化学科
単位区分
選択必修
単位数
2単位
授業概要・授業方針
有機化合物の電子的な性質と結合、反応のエネルギー障壁と反応中のエネルギー変化についての概念、立体化学の重要性、反応機構の考え方等の、有機化学の基本原理を理解することを目的とする。
到達目標
  1. 原子軌道、分子軌道の概念を理解し、混成軌道の電子状態と構造をそれぞれ書けること。
  2. 代表的な有機化合物について、混成軌道の概念に基づき、分子構造を立体的に表現できること
  3. 反応のエネルギー障壁と反応中のエネルギー変化についての概念を図を使って説明できること。
  4. 反応機構に使われる各種記号を用いることができること。
  5. 求核・求電子試薬および酸・塩基の定義ができ、それぞれのはたらきを例示できること。
  6. アルカン、アルケン、アルキンについてその特性と反応を説明できること。
  7. アルケンの求電子付加反応の機構(特にマルコニコフ則)を説明できること。
  8. 求核置換反応および脱離反応の機構を説明できること。
  9. 誘起・共鳴効果の観点から炭素イオンの安定性を考察できること。
教科書
ハート基礎有機化学  H.ハート著 秋葉欣哉 他訳  (培風館)および配布プリント
参考書
入門有機化学  阿河利男 他訳  (化学同人) 
その他関連の参考書は図書館に多数ある。
授業要目 到達目標
との対応
自己点検
前期
1 有機化合物の分類 1
2 有機化合物の構造や性質を左右する化学結合(1):化学結合の分類 1
3 有機化合物の構造や性質を左右する化学結合(2):原子軌道 1
4 有機化合物の構造や性質を左右する化学結合(3):炭化水素の分子軌道 1,2
5 有機化合物の構造や性質を左右する化学結合(4):酸素を含む化合物の分子軌道 1,2
6 有機化合物の構造や性質を左右する化学結合(5):窒素などを含む化合物の分子軌道 1,2
7 炭化水素化合物の立体化学 1,2
8 中間試験 1,2
9 答案の返却、復習 1,2
10 有機化合物の化学反応に伴うエネルギー変化(1):各種反応とエネルギー図 3
11 有機化合物の化学反応に伴うエネルギー変化(2):遷移状態と活性化エネルギー 3,4
12 有機化合物の化学反応に伴うエネルギー変化(2):平衡と反応速度 4
13 化学量論と反応機構:共有結合の解裂と形成 4
14 酸および塩基の定義 求核試薬と求電子試薬 5
15 アルカンの反応および合成 6
16 期末試験 3,4,5,6
17 答案の返却、確認及び授業のまとめ 3,4,5,6
後期 自己点検
1 アルケンの化学 6
2 アルケンの反応(1):マルコニコフ則 6,7
3 アルケンの反応(2):マルコニコフ則と反マルコニコフ則 6,7
4 アルケンの反応(3):フリーラジカル反応 6,7
5 アルケンの反応(4):酸化 およびアルケンの合成 6,7
6 アルキンの化学 6
7 アルキンの反応および合成 6,7
8 中間試験 6,7
9 答案の返却、復習 6,7
10 ハロゲン化アルキルの化学 8
11 ハロゲン化アルキルの反応(1):SN2反応 8
12 ハロゲン化アルキルの反応(2):SN1反応 8
13 ハロゲン化アルキルの反応(3):SN反応機構を決定する因子 8
14 ハロゲン化アルキルの反応(4):脱離反応 8
15 有機化学反応の機構:誘起効果と共鳴効果 9
16 学年末試験 8,9
17 答案の返却、確認及び授業のまとめ 8,9
到達達成度の指標(ルーブリック)
到達
目標
理想的なレベル(A)の目安 標準的なレベル(B)の目安 未到達なレベル(C)の目安 自己評価
1 原子軌道、分子軌道の概念を理解し、混成軌道の電子状態と構造をそれぞれ書けること。 混成軌道の電子状態と構造を書けるが、原子軌道、分子軌道の概念と結び付けられない。 原子軌道、分子軌道の概念を理解していない。 A・B・C
2 代表的な有機化合物について、混成軌道の概念に基づき、分子構造を立体的に表現できる。 代表的な有機化合物の分子構造を立体的に表現できるが、混成軌道の概念と結び付けられない。 代表的な有機化合物の分子構造を立体的に表現できない。 A・B・C
3 反応のエネルギー障壁と反応中のエネルギー変化についての概念を図を使って説明できる。 反応のエネルギー図の見方はわかるが、概念と図と結び付けて説明することができない。 反応のエネルギー図の見方を理解していない。 A・B・C
4 反応機構に使われる各種記号を適切に用いることができる。 反応機構に使われる各種記号を知っているが、適切に用いることができない。 反応機構に使われる各種記号を知らない。 A・B・C
5 求核・求電子試薬および酸・塩基の定義が知り、それぞれのはたらきを例示できる。 求核・求電子試薬および酸・塩基の定義は知っているが、具体的例示ができない。 求核・求電子試薬および酸・塩基の定義を知らない。 A・B・C
6 アルカン、アルケン、アルキンについてすべてその特性と反応を関連づけて説明できる。 アルカン、アルケン、アルキンのいずれかの特性と反応を関連づけて説明できない。 アルカン、アルケン、アルキンの特性と反応を説明できな
い。
A・B・C
7 アルケンの求電子付加反応の機構を説明できる。 マルコニコフ則を知っているが、その反応の機構についての説明が十分できない。 マルコニコフ則の定義を理解していない。 A・B・C
8 求核置換反応および脱離反応の機構をSN1,SN2,E1,E2の違いをもとに説明できる。 求核置換反応および脱離反応の機構の概略はわかるがSN1,SN2およびE1,E2の違いが理解できない。 求核置換反応および脱離反応の機構を理解していない。 A・B・C
9 誘起・共鳴効果の観点から各種炭素イオンの安定性を考察できる。 各種炭素イオンの安定性を評価できるが、誘起・共鳴効果の観点から考察できない。 各種炭素イオンの安定性を評価できない。 A・B・C
到達度評価
定期試験(60%)と小テストおよび課題提出物(30%)に、授業中の質問に対する応答(10%)を含めて評価する。
履修上の注意
授業で学んだ基本的事項はその都度復習し、十分に理解する必要があるとともに、有機化学1で学んだ知識、特に命名法は常に必要となる。分子を三次元で見える能力を養うため、立体的表現に慣れてほしい。
事前学習・自己学習・関連科目
本授業は、有機化学1で学んだ知識を下にして、有機化学に関する様々な事象(化合物の性質、反応のメカニズム等)を考えていくためのツール(原理や法則等)を学んでいく。この科目の学習を怠ると、3年生で学ぶ生化学さらに4年生以降で学ぶ合成化学、生化学、有機工業化学、有機機能化学などを理解することは難しい。