平成29年度 シラバス
授業科目
分析化学実験
 担当教員
（前期）勝浦　創・橋本　千尋　（後期）勝浦　創・橋本　千尋
 開講期
通年
科目番号
140207
 対象学年・学科・コース
2年 生物応用化学科
 単位区分

 単位数
3単位
授業概要・授業方針
実験テーマ毎に実験目的と解説、実技、レポート提出を行い、分析器具の使い方（安全性や廃液処理も含めて）を体得するとともに、定量分析（重量分析、容量分析）の理論を理解することを目的とする。また微生物の培養に関する基本的な実験に加え、微生物の持つ能力や酵素についても実験を行い、微生物や酵素に関する扱い方や性質を理解することを目的とする。
到達目標
  1. 分析化学分野、生物分野の実験における安全の基本的知識を身につけ、注意して実験できること。
  2. 分析化学実験で用いる器具の名称が分かり、取り扱いができること。
  3. 溶液のモル濃度、質量パーセント濃度、比重、希釈についての基本的な計算ができること。
  4. るつぼやガラスフィルターを用いて質量分析の操作ができ、目的物質の純度、含有率の理論値や実験値を求められること。
  5. 中和滴定、酸化還元滴定、キレート滴定などの操作ができ、その結果から目的物質の濃度を求められること。
  6. 生物実験における基本的な用語が説明でき、酵素や微生物の基本的な取り扱いができること。
  7. 実験ノートおよびレポートの書き方を身につけること。
教科書
分析化学実験テキスト　新居浜高専・生物応用化学科　編集
実験を安全に行うために　化学同人編集部　（化学同人）
続実験を安全に行うために　化学同人編集部　（化学同人）
参考書
定量分析　　鈴木 実　編　　（実教出版）
基礎分析化学　　新良宏一郎 他共著　　（三共出版）
高専の化学　　小森三郎　監修　　（森北出版）
微生物学入門　　堀越弘毅、秋葉晄彦　著　　（オーム社）
応用微生物学　　村尾澤夫、荒井基夫　編　　（培風館）
ビギナーのための微生物実験ラボガイド　　堀越弘毅他　著　　（講談社サイエンティフィク）
授業要目 到達目標
との対応		 自己点検
前期
1 分析化学実験の説明と準備及び安全教育 1,3
2 濃度計算の演習
質量分析実験についての講義および演習		 2,3
3 硫酸銅中の結晶水の定量 4,7
4 みょうばん中のアルミニウムの定量 4,7
5 ニッケルの定量、みょうばん中のアルミニウムの定量 4,7
6 ニッケルの定量、みょうばん中のアルミニウムの定量 4,7
7 質量分析実験の復習演習 1,2,3,4
8 中間試験
9 容量分析実験（中和反応）の説明および演習
容量分析実験（中和反応）の準備および練習実験		 5,7
10 炭酸ナトリウム標準溶液の調製および塩酸溶液の濃度標定 5,7
11 水酸化ナトリウム溶液の濃度標定 5,7
12 硫酸の純度測定 5,7
13 食酢中の酢酸の定量 5,7
14 ソーダ灰の定量（二段滴定）、片づけ 5,7
15 期末試験
後期 自己点検
1 容量分析実験（酸化還元反応）の説明および演習
過マンガン酸カリウム標準溶液の調整（溶液作成）		 5,7
2 過マンガン酸カリウム標準溶液の調整（濃度標定）
硫酸アンモニウム鉄（II）中の鉄の定量		 5,7
3 化学的酸素消費量（COD） 5,7
4 過酸化水素水の定量、ヨウ素標準溶液の調製（溶液作成） 5,7
5 ヨウ素標準溶液の調製（濃度標定）、亜硫酸ナトリウム中の亜硫酸の定量 5,7
6 塩素の定量、銀廃液からの銀の回収 5,7
7 容量分析実験（キレート滴定）の説明と演習
硫酸マグネシウム中のマグネシウムの定量（キレート滴定）、片づけ		 5,7
8 中間試験
9 生物実験に関する講義 1,6
10 空気中・土壌中あるいは手に付着している微生物群の検出 6,7
11 菌の単離及び増殖試験 6,7
12 酵母の物質代謝 6,7
13 アミラーゼを用いた酵素反応（pHの影響） 6,7
14 アミラーゼを用いた酵素反応（温度の影響）、片づけ 6,7
15 期末試験
到達達成度の指標（ルーブリック）
到達
目標		 理想的なレベル（Ａ）の目安 標準的なレベル（Ｂ）の目安 未到達なレベル（Ｃ）の目安 自己評価
1 分析化学分野、生物分野の実験における安全の基本的知識の意味を説明でき、注意して実験できる。 分析化学分野、生物分野の実験における安全の基本的知識が身につき、注意して実験できる。 分析化学分野、生物分野の実験における安全の基本的知識が身につかず、注意して実験できない。 Ａ・Ｂ・Ｃ
2 分析化学実験で用いる器具の名称が分かり、目的に応じて適切な器具を選んで取り扱うことができる。 分析化学実験で用いる器具の名称が分かり、取り扱いができる。 分析化学実験で用いる器具の名称が分からず、取り扱いができない。 Ａ・Ｂ・Ｃ
3 溶液のモル濃度、質量パーセント濃度、比重、希釈について、実験結果に基づいた計算ができる。 溶液のモル濃度、質量パーセント濃度、比重、希釈についての基本的な計算ができる。 溶液のモル濃度、質量パーセント濃度、比重、希釈についての基本的な計算ができない。 Ａ・Ｂ・Ｃ
4 るつぼやガラスフィルターを用いて質量分析の操作ができ、目的物質の純度、含有率の理論値や実験値を求められる。 るつぼやガラスフィルターを用いて質量分析の操作ができ、目的物質の純度、含有率の理論計算ができる。 るつぼやガラスフィルターを用いて質量分析の操作ができず、目的物質の純度、含有率の理論値や実験値を求められない。 Ａ・Ｂ・Ｃ
5 中和滴定、酸化還元滴定、キレート滴定などの操作ができ、その結果から目的物質の濃度を求められる。 中和滴定、酸化還元滴定、キレート滴定などの操作ができる。
滴定についての基本的な計算ができる。		 中和滴定、酸化還元滴定、キレート滴定などの操作ができず、その結果から目的物質の濃度を求められない。 Ａ・Ｂ・Ｃ
6 生物実験における基本的な用語が説明でき、酵素や微生物の基本的な取り扱いがその意味を理解した上でできる。 生物実験における基本的な用語が説明でき、酵素や微生物の基本的な取り扱いができる。 生物実験における基本的な用語が説明できず、酵素や微生物の基本的な取り扱いができない。 Ａ・Ｂ・Ｃ
7 実験ノートに実験内容をわかりやすく記録できる。
課題や考察を含め、形式を整えたレポートを作成し、期限までに提出できる。		 実験ノートに実験内容を記録できる。
課題や考察を含め、形式を整えたレポートを作成し、期限までに提出できる。		 実験ノートに実験内容を記録できない。
課題や考察を含め、形式を整えたレポートを作成できず、期限までに提出できない。		 Ａ・Ｂ・Ｃ
到達度評価
実技（実験態度、出欠、レポートの提出）50%、試験50%として評価する。
レポートの提出が遅延した場合、実験点を30点、2回以上遅延したり不提出の場合、実験点を0点とする。
履修上の注意
高専では、将来、実践的技術者として活躍するために、実験は最も重要な科目と位置づけている。そのため何を目的に実験するのかをしっかりと意識して実験するとともに、測定結果や観測結果を解析できる能力を身につけて欲しい。後期の生物に関する実験では微生物や酵素の取り扱い方などの基本操作を学ぶのでしっかりと身につけてほしい。
事前学習・自己学習・関連科目
１年の基礎化学実験で学んだ器具の使い方や安全に対する意識などを役立ててほしい。また、2年の化学2や基礎生物学、微生物学の講義とタイアップして理解していくことが大切である。この実験で学んだ知識は、３年の実験や分析化学の講義で役立つ。