平成24年度
授業科目 担当教員 開講期
合成化学 中川 克彦 通年
科目番号 対象学年 必修・選択の別 単位数
140408 4年 生物応用化学科 学修単位・選択必修 2単位
授業概要
合成化学では、官能基別に分類した有機化合物の物性・反応性・合成法と最近開発された有機金属・光などを用いる合成法を理解し、環境への影響について考える。医薬品・天然物等の合成に必要な立体化学の基礎知識と有機化合物の機器分析による構造決定法の習得も目的とする。
  到達目標
   1. 分子の立体的なイメージを頭の中に描き、構造異性体(骨格異性、位置異性、官能基異性、互変異性)、立体異性体(回転異性、シス-トランス幾何異性、光学異性)の概念を理解し応用できること。
   2. 酸・塩基の定義および概念を理解し、反応機構へ応用できること。
   3. 共鳴の概念を理解し、電子の動きが矢印で記述でき、反応機構の推定に利用することができること。
   4. 置換基の電子供与性、電子吸引性の概念である誘起効果を理解し、反応機構の推定に利用することができること。
   5. グリーンケミストリーの12箇条の概念を説明できること。
   6. アルデヒド及びケトンの命名法、性質、合成、及び反応について基礎的な事項を説明できること。
   7. カルボン酸、アシルハライド、カルボン酸無水物、アミドなどの命名法、性質、合成、及び反応について基礎的な事項を説明できること。
   8. アミンの命名法、性質、合成、反応の基本的事項を説明できること。
   9. ベンゼン誘導体の命名法、性質、芳香族性、ヒュッケル則などを理解し、その反応が説明できること。
   10. 赤外分光法(どんな官能基が存在するか)、核磁気共鳴分光法(どんな炭素−水素などの構成が存在するのか)により測定した有機化合物の各種スペクトルを既存データ集を利用し、その構造式を類推することができること。
教科書
ハート基礎有機化学  H.ハート著 秋葉欣哉 他訳  (培風館)および配布プリント
ポイント有機化学演習  池田正澄 編  (廣川書店)
参考書
グリーンケミストリー 渡辺正・北島昌夫 訳 (丸善)
有機合成化学 飯田弘忠 (培風館)
その他有機合成化学、有機化合物の機器分析化学に関する参考書は図書館に多数ある。
授業の進め方
授業は、教科書・参考書・プリント・Power Pointによる映像を含めた板書を中心に講義を進め、有機化合物の立体構造や反応機構を理解させるために分子模型とコンピュータグラフィクスを使用する。さらに、雑誌や新聞などより最新の「環境にやさしいものづくりの化学」の紹介などを行う。さらに、グリーンケミストリーからみた有機合成法について調査し、発表を学生が行う。
授業内容
前期 後期
1 有機化学の復習(1):有機化学反応機構の考え方(誘起効果) 1 アミン誘導体の化学・合成とその応用演習 (ニトロソアミンの毒性および化学物質管理について )
2 有機化学の復習(2):有機化学反応機構の考え方(共鳴効果) 2 共役系化合物の合成とその応用演習(共鳴と反応機構)
3 アルコールおよびエーテルの化学・反応 3 芳香族化合物の化学(1):共鳴安定化エネルギーと芳香族性の定義
4 カルボニル化合物(1):アルデヒドおよびケトンの化学(命名、共鳴) 4 芳香族化合物の化学(2):置換ベンゼン環の電子効果(誘起効果と共鳴効果)
5 カルボニル化合物(2):アルデヒドおよびケトンの化学・反応(ケトエノール互変異性) 5 芳香族化合物の化学(3):置換ベンゼン環の電子効果の演習
6 カルボニル化合物(3):アルデヒドおよびケトンの合成(アルドール縮合) 6 芳香族化合物の反応(1):求電子置換反応
7 カルボニル化合物(4):アルデヒドおよびケトンの反応および合成法の演習(グリーンケミストリーからみた合成法) 7 芳香族化合物の反応(2):求核置換反応と芳香族置換反応の演習 アスピリン誘導体の合成法 ダイオキシンの毒性
8 中間試験 8 中間試験
9 カルボン酸の化学・反応 9 有機化合物の立体異性体(1):不斉とRS表示法およびEZ表示法
10 カルボン酸の合成とその応用演習(Fischerのエステル化) 10 有機化合物の立体異性体(2):光学異性体の反応とその演習
11 カルボン酸誘導体の化学及び反応 環境にやさしい合成法の考え方(グリーン化学原料と再生可能資源(バイオマス)の利用、グリーンプラスチックなど) 11 新しい合成手法(1):環境にやさしい合成の実例(有機金属、光化学、グリーン触媒、バイオ触媒)
12 夏休み明け合成化学復習試験 12 新しい合成法(2):環境にやさしい合成の実例(学生によるプレゼン発表を行う)
13 カルボン酸誘導体の合成とその応用演習 13 スペクトルによる有機化合物の構造決定(1):IRによる解析および構造決定演習
14 アミン誘導体の化学・合成(命名法、塩基性の比較、反応性 ) 14 スペクトルによる有機化合物の構造決定(2):NMRによる総合構造決定演習
15 期末試験 15 期末試験
成績評価の方法
前期は、定期試験(70%)、小テスト(20%)、課題提出物(10%)を含めて評価する。後期は、定期試験(80%)、プレゼン(10%)、課題提出物(10%)を含めて評価する。 この科目は学修単位科目であるので、(90時間−講義時間)以上の自学自習を必要 とする。したがって、科目担当教員が課した課題の内、{(90時間−講義時間)×3/4} 時間以上に相当する課題提出がないと単位を認めない。
学生へのメッセージ
合成化学は有機化合物の反応性や目標とする有機化合物の合成法およびそれらの構造解析に関する基本的な項目を理解するため、授業で学んだことはその都度復習する必要がある。もし、その努力を怠ると4年生で学ぶ生物化学さらに5年生以降で学ぶ有機工業化学、有機機能化学、環境化学、有機合成化学などを理解することは難しくなる専門基礎科目である。そのため、講義内容の理解確認ドリル及び小テストを随時行う。宿題は、授業中の演習問題、予習用の問題及び環境保全に関するレポート等を出す。分子を三次元で見える能力を養うためコンピュータグラフィックスを用いるが、授業において分子模型も活用するので毎回必ず持ってくること。グリーンケミストリーの観点から有機合成法を見直しましょう!
学習・教育目標 (生産工学) 学習・教育目標
(電子工学)
学習・教育目標
(生物応用化学)
機械工学コース 環境材料工学コース
      A-1、B-4、C-1