平成24年度
授業科目 担当教員 開講期
生物応用化学実験1 中山 享・兵田 俊治 通年
科目番号 対象学年 必修・選択の別 単位数
140308 3年 生物応用化学科 必修 4単位
授業概要
無機化学における基礎的な実験から、実験に関する技術を習得するとともに、無機化学に関する知識を身に付けることを目標とする。また、器具および装置の取扱い方、レポートの書き方、安全などについても学び、実験に対する考え方を体得する。後期後半には、1グループ4名で取組む競技形式のグループ科学実験を行い、企画立案能力、問題解決能力を養う。
  到達目標
   1. 実験書に従って、配位化合物を含む無機化合物の合成ができること。
   2. 実験書に従って、無機化合物中の成分分析および海水中の成分分析ができること。
   3. 銅電解実験を通じて、Faradayの法則を理解できること。
   4. シリカゲル、着色ガラスおよび蛍光体の合成、光触媒による色素の脱色試験を通じて、その現象を理解できること。
   5. 実験方法、実験結果、考察をレポートにまとめ、説明できること。
   6. グループ科学実験では、独自のアイデアを提案し、それを限定された条件下で実現可能なシステムを構築・改良し、最も優れたものを作り上げる。
教科書
生物応用化学実験1テキスト  新居浜高専・生物応用化学科 編集
グループ科学実験の手引き  新居浜高専・生物応用化学科 編集
実験を安全に行うために  化学同人編集部 編  (化学同人)
続実験を安全に行うために  化学同人編集部 編  (化学同人)
参考書
ニューテック化学シリーズ 無機化学  内田 希 他著  (朝倉書店)
授業の進め方
クラスを生物応用化学実験1と生物応用化学実験2に分け、前期と後期で入れ替わって受講する。10班(約2名ずつ)に分け、10テーマに各班に振り分けて実験を行う。3日で1テーマを終了させ、次のテーマに移る。レポート提出期限は、実験終了後1週間以内とする。
本実験と生物応用化学実験1の所定のテーマ実施終了後、グループ科学実験を年度末の
7週間で、準備、実験、競技会を行う。グループ科学実験のレポートは年度途中で2回提出する。
授業内容
 第1週 ガイダンス、班分け
第2週〜第26週
1 光学材料、光反応/着色ガラスと蛍光体を合成し、その着色や蛍光を観察する。光触媒(酸化チタン)に
  よる色素の脱色とシュウ酸鉄(III)錯体の光による還元を観察する。
 2 金属錯体の合成1(銅(II)錯体)/テトラクロロ銅(II)酸ビス(ジエチルアンモニウム)、cis型とtrans型の
  ジグリシナト銅(II)水和物の合成、銅錯体の平衡の観察を行う。
3 海水の分析、イオン交換樹脂、イオンクロマトグラフィー/海水中のCa2+、Mg2+、Cl-の定量分析、
  陽イオン交換樹脂を用いた海水からの陽イオン除去実験、イオンクロマトグラフィーを用いた海水中の
  陰イオン分析を行う。
4 複塩(ミョウバン)の合成、Faradayの法則/硫酸銅(II)アンモニウム、硫酸カリウムアルミニウム、
  硫酸カリウムクロム(III)を合成する。硫酸銅電解液の電解実験を行う。
5 硫酸マグネシウム/硫酸マグネシウム7水和物の合成、Mg、SO4、H2Oの定量分析を行う。
6 金属錯体の合成2(多核金属錯体)、シリカゲル/七モリブデン酸六ナトリウムを合成し、
  H2Oの定量分析を行う。ドデカモリブデン酸アンモニウム塩を合成し、その酸化還元挙動を観察する。
  シリカゲルを調製し、その吸湿特性を観察する。
7 金属錯体の合成3(鉄(III)錯体)、結晶の成長/トリオキザラート鉄錯体を合成、Fe、C2O4の
  定量分析を行う。さらに、4種類の無機塩の結晶成長を顕微鏡下で観察する。
8 炭酸ナトリウムの合成、化学電池/炭酸水素ナトリウムを合成、その加熱分解で炭酸ナトリウムを得る。
  ボルタ電池とダニエル電池を組み立て、その発電特性を観察する。
9 金属錯体の合成4(コバルト(III)錯体)/3種類のコバルト錯体を合成、精製、Cl-の定量分析を行う。
10 金属錯体の合成5(ジルコニウム(IV)錯体)/テトラキス(オキサラト)ジルコニウム(IV)酸カリウムを合成、
  C2O4、Zrの定量分析を行う。
第27〜第30週 <グループ科学実験>
 第1回 準備(購入パーツおよび工具の配布・確認)
 第2〜5回 組立ておよび実験
 第6回 発表準備(作動確認)
 第7回 発表会(競技)
成績評価の方法
第2週〜第26週の実験【80%】(レポートを50%、小テストを20%、受講態度を10%とする。但し、各レポートを期日までに提出しない場合は単位を与えない。)グループ科学実験【20%】(レポートを10%、発表会を10%とする。)その他に、実験に必要である簡単な濃度計算などのテストを行い、80点未満のものには単位を与えない。
学生へのメッセージ
第1、2学年の定性・定量分析実験の内容を一部含むので、よく復習をしておくこと。基本的な無機物質合成・分析テーマの他に、最近話題のテーマを取り入れている。テーマ担当者が、提出レポートの記述内容に対して口頭試問を行う。説明ができるようにレポート作成時からよく勉強し注意しておくこと。第2学年までと異なり、強酸や強アルカリなどすべての試薬・薬品の調整操作を学生自身に行ってもらうため、より一層安全に注意してもらいたい。安全メガネと白衣は実験室内では常時着用してもらい、守れない場合は実験を受講させない。グループ科学実験では与えられた課題に挑戦するために、各自のアイデアを基にグループごとに実現可能な計画を立案し、試行錯誤しながら最も優れた作品を作って下さい。