平成24年度
授業科目 担当教員 開講期
有機合成化学 中川 克彦 後期
科目番号 対象学年 必修・選択の別 単位数
630009 1年 生物応用化学専攻 必修 2単位
授業概要
有機合成化学では、生物応用化学科の合成化学に続いて、グリーンケミストリー(環境にやさしい化学)の哲学を有機合成へ展開した実例を紹介しながら、人名反応により分類した有機合成法の基礎知識などの習得を目的とする。さらに、目標とする有機化合物をどのような化合物から、どのような方法で合成するかを決めるための、いわゆる逆合成的手法を考察する能力を修得させることを目的とする。
  到達目標
   1. 有機反応を「イオン反応、ラジカル反応の反応種」、「付加反応、置換反応などの反応様式」に分類する概念を理解し、種々の反応に適応できること。
   2. 人名反応の反応機構の違い、その長所を理解し、その問題点についてグリーンケミストリーの概念を基に議論できること。
   3. 簡単な有機化合物の「生成物の直接の前駆物質は何か」を見出す逆合成の考え方を理解すること。
   4. 逆合成の考え方をグリーンケミストリーの概念に活用できること。
   5. 有機系専門用語の英語力を身に付けるため、アメリカ合衆国の技術者試験である FE(Fundamental of Engineering)試験に出題される有機化学の問題の内容を理解し、解答できること。
教科書
ビギナーのための有機合成反応 新版  太田博道、西山繁 共著  (三共出版)および配布プリント
参考書
有機合成化学  飯田弘忠 著  (培風館)
グリーンケミストリー  渡辺正、北島昌夫 訳  (丸善)
その他有機合成、有機工業化学などに関する参考書は図書館に多数ある。
授業の進め方
授業は、教科書・配布プリント及びCGアニメーションを中心としたゼミ方式の講義を進め、学生は授業中の課題および講義内容のまとめについて個別およびグループ討論などによる発表を行う。
授業内容
1 有機合成反応の分類(1):イオン反応、ラジカル反応
2 有機合成反応の分類(2):付加反応、置換反応
3 有機合成反応の分類(3):脱離反応、転位反応
4 グリーンケミストリー(1):定義とその哲学
5 グリーンケミストリー(2):その精神である“12箇条”と合成反応の実例 (米国特許を含む特許検索を行い、産業界の現状を学ぶ)
6 人名反応(1):Williamson 反応、Sandmeyer 反応 (以下の人名反応について、グリーンケミストリーの概念を基にし、その合成法の長所、短所を見出し、特許検索を行い、問題点についてはそれを解決する能力を養う)
7 人名反応(2):Saytzeff 則、Hofmann 則
8 人名反応(3):Aldol 反応、Cannizzaro 反応
9 人名反応(4):Grignard 反応、Friedel-Crafts 反応
10 人名反応(5):Markovnikov 則、anti-Markovnikov 則
11 グリーンケミストリーと「環境問題:気候変動の経済影響(The Economicsof Climate Change)」について:DVDを鑑賞し、環境問題について討論を行う
12 逆合成の考え方(1):脆い(tender)結合と粘い(tough)結合
13 逆合成の考え方(2):単官能基の逆合成の演習1(特別研究に関連した化合物の逆合成法について発表)
14 逆合成の考え方(3):単官能基の逆合成の演習2(特別研究に関連した化合物の逆合成法について発表)
15 期末試験
成績評価の方法
期末試験(70%)、講義中の英訳・和訳や化学クイズの応答(20%)、課題提出物(10%)を含めて評価する。
学生へのメッセージ
有機合成化学はこれまで学んだ有機化学、合成化学および有機工業化学の発展科目である。有機化合物の合成法に関する基本項目を理解しそれらを応用する能力を修得するため、授業で学んだことはその都度復習・演習する必要がある。講義中、雑誌や新聞より最新の有機合成法や機能性有機材料に関連したトピックス、グリーンケミストリーの特許への活用等に対するグループ討論を行うので、専攻科1年時において利用する理論有機化学と有機工業化学系の教科書を持参して欲しい。さらに、教科書に掲載されている有機系専門用語の英語力を身に付けるため、アメリカ合衆国の技術者試験である FE(Fundamental of Engineering)試験に出題される有機化学の問題を講義中に演習するので、英語の辞書は必ず持参すること。
学習・教育目標 (生産工学) 学習・教育目標
(電子工学)
学習・教育目標
(生物応用化学)
機械工学コース 環境材料工学コース
      A-1、B-4、C-1