平成19年度
授業科目 担当教員 開講期
有機工業化学 (前期)中川 克彦・(後期)兵田 俊治 通年
科目番号 対象学年 必修・選択の別 単位数
140503 5年 生物応用化学科 学修単位・選択必修 2単位
授業概要
現在、身の回りの生活用品の8割以上が有機化合物から製造されている。有機工業化学では、有機化学及び合成化学で学んだ基礎知識を基にして、石油化学製品の反応や製造法を学び、さらに高分子物質及び機能性物質の標準的な製造法及び基礎的な性質を学び、自ら化学技術者として化学工業、社会に貢献できる実践的な知識・素養を身に付けることを目標とする。
  到達目標
   ・地球環境やさしい有機工業製品の製造に関する基本的考え方(グリーンケミストリー:グリーン化学原料と再生可能資源の利用、グリーン触媒の活用、エネルギー分野のグリーン化)を活用できること。
   ・石油コンビナート等災害防止法、公害対策防止法などの工場の操業における安全対策の基礎事項について説明できること。
   ・有機工業化学品の基本的な化合物の名称および構造式を書くことができること。
   ・著名な有機工業化学品の製造プロセスについて説明できること。
   ・有機工業化学製品のコストを認識することができること。
   ・物質収支の計算ができ、その結果をプロセス改良に活用できること。
   ・高分子化合物の基本的化合物の名称および構造式を書くことができること。
   ・高分子化合物の合成法に関する基本的な知識を習得し、説明することができること。
   ・機能性高分子の特性に関する基本的な知識を習得し、説明することができること。
   ・特許を取るための手続きを身に付け、その明細書を読みとることができること。
教科書
有機工業化学  園田昇 他編  (化学同人) および配布プリント
参考書
有機工業化学概論  吉田高年 他著  (培風館)
授業の進め方
授業は、教科書・プリント・板書を中心に講義を進めるが、2週に1回程度の小テスト又は課題に対する解答を発表し、その理解度を確認する。教科書に記載されていない資料(製造法、物質収支計算、生産量、用途等)は主としてプリントを用いて講義する。
授業内容
前期 後期
1 基礎(1):有機工業化学とは 1 炭化水素の熱分解(3.2.1):物質収支(1)(エステル誘導体反応プロセス)
2 基礎(2):有機化学に関する基礎的用語(化学用語と関連する英語略語について) 2 芳香族炭化水素の製造法(3.2.3):物質収支(2)(フローシート計算~反応・蒸留)
3 基礎(3):化学式・官能基・化合物命名法 (官能基に基づいてその性質や物性などを予測) 3 エチレンからの誘導体の合成(3.3):物質収支(3)(フローシート計算~反応・蒸留)
4 基礎(4):官能基の反応性・反応機構(生成物の予測について) 4 プロピレンからの誘導体の合成(3.4):物質収支(4)(原単位)
5 基礎(5):反応と合成(1)(官能基別有機化合物の一般的な合成法について) 5 環状脂肪族炭化水素の利用(3.6):物質収支(5)(比例費)
6 基礎(6):反応と合成(2) 6 芳香族炭化水素からの誘導体(3.7):物質収支(6)(エステル誘導体物質収支の計算)
7 知的所有権の概要(主として知的財産の保護の重要性と特許制度について理解することを目標とする) 7 新しい化学原料体系とC1の化学(3.9):物質収支(7)(エステル誘導体物質収支の計算)
8 中間試験 8 中間試験
9 プラスチックと地球環境(1)(プラスチックの歴史と地球環境への影響) 9 合成高分子(5.2):特許(知的財産権)
10 プラスチックと地球環境(2)(物質の循環と微生物の役割) 10 プラスチック(5.3):特許(特許権を取るための手続き)
11 燃料とエネルギー(1)(化石燃料の歴史と地球環境との関係) 11 熱可塑性樹脂(5.3.2)、熱硬化性樹脂(5.3.3):特許(特許権を取るための手続き)
12 燃料とエネルギー(2)(地球温暖化の対策と石油代替エネルギー) 12 ゴム、エラストマー(5.4):特許(明細書の書き方)
13 石油化学(1)(歴史的な地場産業の環境への取り組姿勢について学ぶ) 13 繊維(5.5):特許(公開特許公報の読み方)
14 石油化学(2)(環境への負荷と経費の軽減を可能にする触媒の機能及び安全を最優先する工場運営等について理解することを目標とする) 14 機能性高分子(5.8):特許(U.S.P.の読み方)
15 期末試験 15 期末試験
成績評価の方法
4回の定期試験(70%)と各章毎の理解度を確認する小テスト(10%)、課題提出物(10%)、雑誌・新聞記事プレゼンテーション(10%)を含めて評価する。 この科目は学修単位科目であるので、(90時間−講義時間)以上の自学自習を必要 とする。したがって、科目担当教員が課した課題の内、{(90時間−講義時間)×3/4} 時間以上に相当する課題提出がないと単位を認めない。
学生へのメッセージ
有機工業化学は幅広い学問だが、その中心となる反応や製造法は有機化学や合成化学を基礎としている。また、身の回りのほとんどが工業製品、中でも有機工業製品で構成されている。それらは、どんな物質で構成されているか、どのようにして作るのか、どんな性質を有しているか、どんな用途が有るか、使い勝手はどうか、工業化への道のりはどのようになっているか、いろいろ考える所に進歩があり、次の課題を見つけることができる。大学・公的機関・会社での研究・仕事を通して社会に貢献する為の基礎として、有機工業化学は有意義な科目である。
学習・教育目標
(生産工学)
  学習・教育目標
(システムデザイン工学)
  学習・教育目標
(生物応用化学)
A-1、B-4、C-1