平成19年度
授業科目 担当教員 開講期
物理化学2 河村 秀男 通年
科目番号 対象学年 必修・選択の別 単位数
140410 4年 生物応用化学科 学修単位・必修 2単位
授業概要
物理化学の柱の1つである熱力学について、その基本的原理である熱力学第一法則、第二法則、第三法則とそれらの化学への応用について講義する。基本的な関係式を導かせ、式の物理的意味を考えさせることで、熱力学の抽象的な概念をできるだけ具体的に理解させることを目的とする。
  到達目標
   ・状態量について説明でき、示量性状態量と示強性状態量の違いと例を上げられること
   ・代表的な熱力学状態量を式で表せること
   ・体積変化に伴う仕事量、温度変化に伴うエンタルピーを計算できること
   ・標準生成エンタルピーから任意の温度における反応エンタルピーを計算できること
   ・体積変化、温度変化、相変化、混合および反応に伴うエントロピー変化を計算できること
   ・体積変化や圧力変化に伴う自由エネルギー変化を計算できること
   ・人名のついたような基本的な熱力学の関係式を導くことができること
教科書
基礎物理化学 杉原剛介 他著 (学術図書出版)
物理化学2配布プリント 河村作成
参考書
化学熱力学 原田義也 著 (裳華房)
物理化学(上) アトキンス 著 千原秀昭 他訳(東京化学同人)
化学・生命科学系のための物理化学 Raymond Chang 著 岩澤康裕 他訳 (東京化学同人)
化学を学ぶ人のための基礎数学 ピータ・デビット 著 北浦和夫 他著(化学同人)
授業の進め方
各授業において配布するプリントに沿って授業を進める。各授業における重要な点や理解度を確認させる目的で、適宜演習を採り入れる。各期毎に演習問題を与え、レポートとして提出させる。
授業内容
前期 後期
1 熱力学で使用される用語の説明:系、外界、状態量 1 カルノーサイクルの効率
2 熱と仕事の定義:体積変化に伴う仕事 2 熱力学第一法則では説明できない現象例
3 熱力学第一法則の説明:熱、仕事、内部エネルギーの関係、第一種永久機関 3 熱力学第二法則:トムソンの原理とクラウジウスの原理
4 準静的変化の説明:理想気体の体積変化を例に上げて 4 可逆過程と不可逆過程:理想気体の等温での体積変化を例に上げて
5 内部エネルギーおよびエンタルピーの定義:定積条件と定圧条件において 5 エントロピー:熱力学第二法則の数学的表現
6 熱容量の説明:定積熱容量、定圧熱容量及びその関係 6 定温条件における理想気体の体積変化に伴うエントロピー変化
7 温度変化に伴う熱量の計算:定積条件と定圧条件において 7 定積、定圧条件における温度変化に伴うエントロピー変化と相変化に伴うエントロピー変化
8 中間試験 8 中間試験
9 ジュールの実験:理想気体の内部エネルギーの分子論的解釈と理想気体の熱
ジュールの実験:理想気体の内部エネルギーの分子論的解釈と理想気体の熱容量(マイヤーの関係式)
9 理想気体の混合に伴うエントロピー変化
10 断熱変化:理想気体の断熱変化(ポアソンの式) 10 エントロピーの分子論的解釈
11 反応熱:ヘスの法則 11 熱力学第三法則:ネルンストの熱定理とプランクの表現
12 標準状態における反応熱の計算 12 標準エントロピーと化学反応に伴うエントロピー変化
13 任意の温度における反応熱の計算:キルヒホッフの式 13 自由エネルギー:ギブズの自由エネルギーとヘルムホルツの自由エネルギー
14 熱機関とカルノーサイクルの説明 14 熱力学の関係式:マックスウェルの関係式、ギブズーヘルムホルツの式
15 期末試験 15 期末試験
成績評価の方法
この科目は学修単位科目であるので、(90時間―講義時間)以上の自学自習を必要とする。したがって、科目担当教員が課した課題の内、{(90時間―講義時間)x3/4}以上に相当する課題提出がないと単位を認めない。
成績は、中間試験と期末試験の結果を80%、各授業において課したレポートを20%として評価する。
学生へのメッセージ
関係式の誘導において、偏微分と全微分をよく使用する。微分などの計算ができるだけでなく、式の物理的意味も理解しようとすることが大切である。
学習・教育目標
(生産工学)
  学習・教育目標
(システムデザイン工学)
  学習・教育目標
(生物応用化学)
B-1、B-2、B-4