平成19年度
授業科目 担当教員 開講期
生物応用化学実験2 間淵 通昭・堤 主計   通年
科目番号 対象学年 必修・選択の別 単位数
140309 3年 生物応用化学科 必修 4単位
授業概要
本授業は、基本的な有機化学物の合成と分析の実習を通じて、実験に関する技術を習得するとともに、有機化学に関する知識を身に付けることを目標とする。同時に、身の回りにある材料や環境にやさしい物質を扱うことにより、環境保全・安全や技術者倫理についての認識を深める。また、レポート作成や発表会を通じてプレゼンテーション能力も養う。
  到達目標
   ・有機化合物に対する基本的な知識に基づいて安全に試薬・実験器具の取り扱いができること。
   ・分液ロートなどの基本的な実験器具の取り扱いができること。
   ・蒸留装置、還流装置、攪拌装置の組立てができること。
   ・実験書に従い、溶液の作製等、有機化学実験に必要な試薬の調製ができること。
   ・実験書に従い、オレフィン(アルケン)・エステル・アゾ染料などの有機化合物を合成できること。
   ・実験書に従い、合成した化合物を同定できること。
   ・実験方法、実験結果、考察をレポートにまとめ、説明できること。
教科書
生物応用化学実験2実験書  新居浜高専・生物応用化学科 編集
実験を安全に行うために  (化学同人)
続・実験を安全に行うために  (化学同人)
参考書
ハート基礎有機化学  H.ハート著 秋葉欣哉 他訳  (培風館)
新ソロモンの有機化学(上下)  花房昭静 他監訳  (広川書店)
入門有機化学  阿河利男 他訳  (化学同人)他
授業の進め方
初回に全体説明を行い、以降各班2人に分かれて班毎に実験演習を5テーマ各3回(計15回)、報告発表会は2回行う。実験実習は毎週2回行う。
授業内容
 第1週 ガイダンス、班分け
第2週〜第14週 5テーマの実験実習と3回の発表会、テーマごとの小テスト
1. オレフィンの合成とNMR分析:
 アルコールの脱水反応によりオレフィンを合成し、NMR(核磁気共鳴分光法)により生成物の分析を行う。
2. 香気の収集と酢酸エチルの合成:
 柑橘類の香気成分を溶媒抽出法によって収集し、これを用いて発泡スチロール廃材の処理について観察する。
酢酸エチルを合成し、NMRにより同定する。ニトロセルロースを合成し、(ニトロ)エステル化により物質の性質が
変化することを確認する。
糖類を用いて銀鏡反応試験を行い、アルデヒドの還元性を確認する。
3. 染料の合成と微生物による染料の分解:
 アゾ染料をカップリング反応によって合成し、これを用いて繊維の染色と脱色を行う。
さらに、染料の紫外・可視吸収スペクトル測定を行い、吸収スペクトルと色の関係を理解する。
また、微生物を用いてアゾ染料の分解反応を行う。
4. ニトロベンゼンの合成と酢酸ビニルの乳化重合:
 ベンゼンをニトロ化し生成物の純度をガスクロマトグラフィーにより分析する。
ポリ酢酸ビニルを乳化重合により合成する。
5. 牛乳からのプラスチックの合成と生分解性高分子の分解観察:
 身近な食品である牛乳からプラスチックを合成する。
微生物によって分解する性質をもつ市販の高分子の分解試験を行う。
第15週 実験の総括、清掃
成績評価の方法
毎時間後に提出する小レポートの内容(10%)及び各テーマ終了後に提出するレポートの内容(40%)、実験内容に関する小テストの成績(20%)、発表会(20%)および受講態度(10%)によって評価する。
学生へのメッセージ
実験に取り組むにあたって、有機化学1と有機化学2の基礎知識が必須である。また、器具や薬品の取り扱いを熟知し、白衣、保護眼鏡を着用するなど、安全面に十分に配慮しなくてはならない。実験は安全に注意して行えば、本来楽しいものである。自分の手を動かし、よく観察し、現象を考えることを通じて、実験操作のテクニックを体得するとともに授業で学んだ有機化学をよりよく理解し、その面白さを実感してほしい。