平成19年度
授業科目 担当教員 開講期
生物応用化学実験1 中山 享・橋本 千尋 通年
科目番号 対象学年 必修・選択の別 単位数
140308 3年 生物応用化学科 必修 4単位
授業概要
無機化学における基礎的な実験から、実験に関する技術を習得するとともに、無機化学に関する知識を身に付けることを目標とする。また、器具および装置の取扱い方、レポートの書き方、安全などについても学び、実験に対する考え方を体得する。
  到達目標
   ・実験書に従って、配位化合物を含む無機化合物の合成ができること。
   ・実験書に従って、無機化合物中の成分分析および海水中の成分分析ができること。
   ・銅電解実験を通じて、Faradayの法則を理解できること。
   ・着色ガラスや蛍光体の合成、光触媒による色素の脱色試験を通じて、その現象を理解できること。
   ・実験方法、実験結果、考察をレポートにまとめ、説明できること。
教科書
生物応用化学実験1テキスト  新居浜高専・生物応用化学科 編集
実験を安全に行うために  化学同人編集部 編  (化学同人)
続実験を安全に行うために  化学同人編集部 編  (化学同人)
参考書
なし
授業の進め方
クラスを生物応用化学実験1と生物応用化学実験2に分け、前期と後期で入れ替わって受講する。10班(約2名ずつ)に分け、10テーマに各班に振り分けて実験を行う。3日で1テーマを終了させ、次のテーマに移る。レポート提出期限は、実験終了後1週間以内とする。
授業内容
 第1週 ガイダンス
第2週〜第14週
1 金属錯体の合成1(ジルコニウム(IV)錯体):テトラキス(オキサラト)ジルコニウム(IV)酸カリウムを
  合成し、C2O4とZrの分析を行う。
2 金属錯体の合成2(銅(II)錯体):テトラクロロ銅(II)酸ビス(ジエチルアンモニウム)及びcis型と
  trans型のジグリシナト銅(II)水和物の合成を、銅錯体の平衡の観察を行う。
3 海水の分析およびFaradayの法則:新居浜市沿岸の海水について、Ca2+、 Mg2+
  及びCl-の定量分析を行う。さらに、硫酸銅電解液の電解実験を行う。
4 金属錯体の合成3/トリオキザラート鉄錯体:トリオキザラート鉄錯体を合成し、その中の鉄及びシュウ酸基
  の定量分析を行う。
5 硫酸マグネシウムの調製及び分析:硫酸マグネシウム7水和物の合成を行い、MgSO4
  及びH2Oを分析する。
6 金属錯体の合成4(多核金属錯体):七モリブデン酸六ナトリウムを合成し、その中の水の定量分析を
  行う。また、ドデカモリブデン酸アンモニウム塩を合成し、その酸化還元挙動を観察する。
7 複塩(ミョウバン)の合成:硫酸銅(II)アンモニウム、硫酸カリウムアルミニウムと
  硫酸カリウムクロム(III)を合成する。
8 炭酸ナトリウムの合成、結晶の成長および金属錯体の合成5(ニッケル(II)錯体):
  炭酸水素ナトリウムを合成後、加熱分解で炭酸ナトリウムを得る。4種類の無機塩の結晶成長を顕微鏡下で
  観察する。さらに、ヘキサアンミンニッケル(II)塩化物及びトリス(エチレンジアミン)ニッケル(II)
  硫酸塩の合成を行う。
9 金属錯体の合成6(コバルト(III)錯体):3種類のコバルト錯体を合成、精製し、さらに塩化物イオン
  の定量分析を行う。
10 光学材料と光反応:着色ガラスや蛍光体の合成を行い、その着色や蛍光を観察する。また、光触媒
  (酸化チタン)による色素の脱色やシュウ酸鉄(III)錯体の光による還元を実験を通して観察する。
第15週 実験の総括と実験器具整理
成績評価の方法
レポートを70%、実験への取り組み方を30%とする。但し、各レポートを期日までに提出しない場合は、単位を与えない。その他に、実験に必要である簡単な濃度計算などのテストを行い、80点未満のものには単位を与えない。
学生へのメッセージ
第1学年で行った定性分析実験と第2学年で行った定量分析実験の内容を一部含むところがあるのでよく復習をしておくこと。また、本実験は基本的な無機物質の合成テーマと最近話題になっているテーマを取り入れている。提出されたレポートに対しては、毎回テーマ担当者から記述内容に対して口頭試問を行うので説明ができるようにレポート作成時からよく勉強し注意しておいてもらいたい。第2学年までと異なり実験試薬の調製などすべて操作を学生自身に行ってもらうため、強酸、強アルカリを始めてする薬品を取り扱う機会が多くなる。よって、より一層安全に注意してもらいたい。安全メガネと白衣は、実験室内では常時着用してもらい、守れない場合は実験を受講させない。